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昨日11月19日の原子力規制委員会適合性審査会合ですが

午前中の冒頭10分ほどで敦賀原発の審査について議論があり、地盤と地震動の議論からはじめるとの規制委側の方針が伝えられました。会場からは、すでに結論は出ているので審査はやめるようにとの声があがりました。開始前には、規制委の建物の前で、敦賀原発審査するな!活断層二度のクロ判定 税金の無駄遣いやめて!との横断幕を広げてアピール行動を行いました。

昨日の会合は9時間におよんだのですが、最後の議題が美浜3号機でした。これがびっくりです。

美浜3号機の耐震性について関電は「新しい手法を採用する」と主張し、その理由について規制委側から問い詰められた結果、「従来の手法では耐震健全性を示せない」と白状した経緯がありました。

ところが昨日の審査会合の場で関電が提示したのは、新しい手法とは全く無関係に、これまでのやり方でさまざまな理由で確保していた安全余裕を設計者の判断で入れたものは不要などと決めつけ、ことごとく切り捨てて、無理やり基準をクリアさせるというとんでもない評価でした。関電は、基準地震動で余裕を見ているからよいのだとも。

これに対しては、更田委員をはじめ、さすがの規制委・規制庁も唖然として言葉を失っていました。以下は官邸前のチラシに入れた文言です。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武

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関電の安全余裕切り捨てに規制委も唖然
美浜原発3号機は廃炉に!

◆規制委側も唖然とする場面
昨日11月19日の美浜原発3号機の新規制基準適合性審査会合において、規制委側が唖然とする場面がありました。この間、美浜3号機の耐震性について、関電は「新しい手法を採用する」と主張し、その理由について規制委側から問い詰められた結果、「従来の手法では耐震健全性を示せない」と白状した経緯がありました。ところが昨日の審査会合の場で、関電が説明したのは、新しい手法とは全く無関係に、これまでのやり方で確保していた安全余裕を「設計者の判断で入れたものは不要」などと決めつけて切り捨てて、無理やり基準をクリアさせるというとんでもない評価でした。関電は、基準地震動で余裕を見ているからよいとも。こ
れに対しては、更田委員をはじめ、規制委・規制庁も唖然として言葉を失っていました。

◆老朽炉美浜3号機の審査期限は来年11月
美浜3号機は来年11月30日に運転開始40年が経過する老朽原発です。この日までに寿命延長の審査を終えなければ廃炉となります。寿命延長のための審査を受けるには、適合性審査を終えていなければなりませんが、終了の目途は立っていません。 この間もつれたのは基準地震動の策定でした。活断層の上端深さを、大飯原発や高浜原発と同様に3キロにと主張する規制委側に対し、関電は4キロを主張してなかなか譲りませんでした。結局、関電が折れて3キロとなり、基準地震動は750ガルから993ガルへと大幅に引き上げられました。決定は8月21日にずれ込みました。
これでようやく、機器や施設の耐震安全性を確認する作業がはじまるわけですが、書類が関電からなかなか提出されない状況が続きました。関電は、開発した新しい手法を適用したいと説明し、規制委側は、それでは手法の妥当性から審議しなければならないと難色を示していました。

◆関電「耐震健全性示せない」と白状
今年10月15日の審査会合において、規制庁櫻田道夫規制部長が、新しい手法を用いる目的について「従来の手法では基準適合性が示せないからではないか」と問い質すと、関電の原子力事業本部水田仁副本部長は、従来の手法では「耐震健全性を示せない」と明言しました。関電は、新しい手法は精緻な方法だなどと述べていますが、結局のところ、安全を取り繕い、耐震を装うための手法であることを白状したにすぎません。

◆直ちに廃炉にすべき
今年10月27日に規制委は臨時会合を開いて関電社長を呼びつけました。規制委側は、期限があることを理由に、美浜3号機を優先的に審査したいと述べました。なぜ最も危険な原発の優先審査を規制当局の側が提案するのでしょうか、全く理解できません。昨日の審査会合で、耐震性を示すことはできないことが明確になりました。審査を打ち切り廃炉と決めるときでしょう。