osensui

みなさまへ

◆ヨウ素129の基準値超えの実態

東電の細かいCSVデータからグラフをつくってくれています。こまかい作業ありがたいです

〇FoEJapanさんブログ
https://foejapan.wordpress.com/2018/08/26/0826/

〇Kontan_Bigcaさん
https://twitter.com/Kontan_Bigcat/status/1031818474862010369/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1031818474862010369&ref_url=https%3A%2F%2Ff1nps.blogspot.com%2F2018%2F08%2F2018820.html

2017年度は、既設C系、増設A~C系につき、どれも告示濃度限度を超えています。

〇木野さんの記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/kinoryuichi/20180827-00094631/

木野さんの記事によると「62核種のうちヨウ素129(I-129)、ルテニウム106(Ru-106)、テクネチウム99(Tc-99)が、17年度だけで65回、告示濃度限度を超えていた。2017年8月24日から18年3月26日の間は、増設多核種除去設備で、84回分析したうちの45回で告示濃度限度を超えていたこともわかった。稼働期間の半分は、基準を超えていたということになる。」とのことです。

◆2014年12月…吸着材交換の頻度を下る運転方針

前回紹介した、2014年12月25日に東電が提出した「増設多核種除去設備本格運転に向けた対応について」という資料
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/141225/141225_01_3_2_04.pdf
は、経産省の「廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第13回)」に提出されたものでした。
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20141225_01.html

この中で東電は、ホット試験結果の考察として、

-I-129については、比較的早い傾向で性能の低下が見られるが、既設ALPSのインプラント試験で得られた性能維持期間と同等であることを確認。(想定通り)[5ページ]

とした上で、本格運転移行後の運転方針について[以下6ページ]

-増設ALPSは、処理済水が告示濃度限度を下回る濃度まで低減できる性能を有することを確認できたものの、Ru-106、I-129などの核種を長期間維持するためには、吸着材を高い頻度で交換する必要があり、その場合、稼働率の低下の懸念が発生

-敷地境界における実効線量として、平成27年度3月末時点で2mSv/年未満、平成28年度3月末時点で1mSv/年未満を達成することが必須であるため、汚染水タンク貯留時におけるリスクおよび線量を考慮すると、当面の間は、稼働率を低下させないことが重要

としたうえで、本格運転移行後の運転方針として

-汚染水貯留時におけるリスク・線量を早期に低減するため、敷地境界における実効線量への影響を与えない範囲で、(告示濃度限度にとらわれずに)放射性核種を十分低い濃度まで除去する運転を実施

この当時は、処理していない汚染水がタンクに大量に残っていて、そこからの放射能により、敷地境界の線量が年3mSvを超えていました。これを目標期間内に1mSv以下にするために、処理のスピードを優先するという方針です。

I-129については、告示濃度以下にするためには、吸着材を頻繁に交換しなければなりませんが、それだと稼働率が低下して処理スピードが落ちてしまうので、告示濃度限度にこだわらずに、超えても構わないから、吸着材の交換頻度を下げて、処理スピードを優先する運転を当面行うということです。

そのために、実施計画の記載に以下を追加する案を提示しています。「本格運転においては、汚染水貯留時におけるリスク低減を目的とした汚染水の早期処理および敷地境界における実効線量を踏まえた放射性核種の十分な濃度低減を両立した運転を実施する。」[8ページ]
◆なぜ吸着材交換の頻度を下げた運転が再び続いているのか?

その後、2015年5月には、タンクにある処理していない汚染水はなくなり、2016年3月までに予定通り敷地境界年1ミリ以下を達成します。もう頻度を下げてスピードを重視する必要はなくなります。

実績のグラフをみても、2015年の秋までは告示濃度超えが頻発しますが、それ以降は一旦なくなります。

しかしその後、2017年度になって再び告示濃度超えが頻発します。これはなぜでしょうか?

〇以下のブログがものすごい参考になります
https://f1nps.blogspot.com/2018/08/2018820.html
◆やはりエネ庁は確信犯

吸着材交換の実態については、東電から規制委だけでなく、経産省エネ庁にも状況は伝わっていました。2014年12月25日の資料は、エネ庁の会議に提出されたものです。

それに、2013年にエネ庁が設置した「トリチウム水タスクフォース」の後を継いで、2016年に設置された小委員会の名称は「多核種除去設備等処理水に関する小委員会」で、トリチウム水→多核種除去設備等処理水と名称を変えています。このことにも表れていると思います。

にもかかわらず、今回の説明・意見聴取会の資料には、ヨウ素129はND(検出限界以下)まで除去できるとの記載で、トリチウムだけが問題だとしています。確信犯だと思います。

明日、エネ庁、東電に直接問い質す機会があるので聞きたいと思います。そのうえで、意見聴取会では、議論の前提が崩れたことを述べたいと考えています。

2018年8月27日
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会/福島老朽原発を考える会)