みなさまへ(拡散希望)

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運転開始から41年の11月27日、東海第二原発の原子力防災に関する要請書を茨城県に提出し、関係する部署の方と交渉しました。

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・再稼働については、避難計画の実効性を高め、県民に説明し、県民の意見を聞いたうえで同意の判断を行う。それまでは同意の判断はしない
・UPZを含む要配慮者の避難や複合災害への対応も課題であると認識している
・安定ヨウ素剤の40歳以上への配布はこれまで通り継続する
・安定ヨウ素剤のUPZでの事前配布については「周辺市から要望があったので県から国に問合せたが『離島等もないので事前配布はできない』と言われた」

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主催は、原子力防災を考える会@茨城、原子力規制を監視する市民の会、国際環境NGO FoE Japanの3団体、東海村、水戸市、笠間市のそれぞれと東京から2名が参加、設定をお願いした玉造県議にも同席いただきました。

県側は、原子力安全対策課原子力防災調整監の土信田氏、薬務課技佐の長洲氏、それぞれの課からさらに1名ずつの合わせて4名でした。。

まず市民側から要請書を提出しました。

東海第二・県への要請書

要請項目は以下の3点です。

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1.一連の台風被害を踏まえ、東海第二原発の原子力防災について見直しを図ること。避難計画については、原発事故と風水害などとの複合災害やその場合の要配慮者の避難についても検討し、実効性を検証すること。

2.安定ヨウ素剤服用・配布について、改定マニュアルに従い、40歳以上への配布を継続すること、被ばく前の服用を県民に周知すること、また、被ばく前の服用を実現するためにも、UPZでの事前配布を積極的に進めること。

3.原子力防災の見直しと具体化、実効性の検証が行われないうちは、防災上有
利な現状の停止状態を維持するようはたらきかけること。

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◆避難計画の実効性と再稼働との関係について

避難計画立案の現状と課題、複合災害への対応、避難計画の実効性の確認と再稼働との関係について聞きました。県側の回答は

・広域避難計画は14市町村のうち、笠間、常陸大宮、常陸太田の3市町ができているが残りは策定中
・PAZではマイカーで避難できない人や病院などの避難用に一般車両400台、福祉車両450台を確保する必要がある
・UPZは屋内退避が基本だが、電気・水道・ガスを早期に復帰することが課題
・避難退域時検査については、検査のための技術者や機器の確保が課題。
・複合災害への対応については、国との地域対策協議会の場で勉強会を開く予定
・安全確認は規制委が審査で行っているが、県も独自に委員会で検討している
・再稼働については、避難計画の実効性を高め、県民に説明し、県民の意見を聞いたうえで同意の判断を行う。それまでは同意の判断はしない
・避難計画の実効性を高めるために避難訓練とシミュレーションを行う

といったものでした。質疑では以下のようなやりとりがありました

・県民に意見を聞くというがどうやって聞くのか?→未定
・拡散シミュレーションの事故想定は?→新規制基準の中で想定される最大の事故。一つではない→福島原発事故レベルは?→いろいろな場合を想定する→どこが行うのか?→やれるところに委託することになる
・ひたちなか市などは今後の課題として病院等での避難計画の策定、複合災害への対応をあげている。UPZでの要配慮者の避難や複合災害も再稼働前に検討すべきものではないのか?→課題として認識している
・UPZの病院の避難計画はできていないのではないか?→福祉施設はできているが病院はできているのが少ないのは確か
・市民側から、できているといってもこの病院はこの病院へというマッチングを形式的に行っているだけで移動手段も確保できていない。できているとはいえない。避難できなければ屋内退避となるが、医師や看護師や介護者に残れと言えるのか。簡単な問題ではない
◆安定ヨウ素剤の配布について

規制委によるマニュアル改定を受けて、40歳以上への対応、服用のタイミングについての周知、UPZでの事前配布について聞きました。県側の回答は

・40歳以上について、規制委のマニュアルの文言がパブコメにより「服用の必要はない」から「服用の必要性は低い」に変更になった経緯は承知している。40歳以上についても希望者への配布をこれまでと同様に継続する。
・服用のタイミングについて、配布時に周知するようにしている。
・UPZでの事前配布については、周辺の市からも要望があり、国に問合せたが「離島等もないので事前配布はできない」と言われた。

といったものでした。さらに以下のようなやりとりがありました。

・UPZでの事前配布については、市民側から、鳥取県や鹿児島県で実現している例があり、5月に行われた市民と国との交渉でも、県の判断でできる旨の回答があったと説明しました。(市民側からも国に問い合わせてみたいと思います)
・やりとりの中で、安定ヨウ素剤の緊急時配布で県職員が被ばくする問題が議論になりました。県の原子力安全対策課の若い職員が、50ミリまでは浴びてもよい、100ミリ以下であれば問題ない、福島原発事故もたいしたことはなかったといった発言をしたことから、市民側から、防災の担当者として放射線リスクの捉え方に問題があるとの指摘がありました
・避難退域時検査における検査と被ばく医療について?→医師の確保などに努めている→指針が変わり、車だけの検査でよいなどとなっている。被ばく医療についての国のマニュアルがなくなり、県のマニュアルと矛盾をきたしているのではないか?→国のマニュアルがないことは認識している
要配慮者の避難や複合災害への対応などを含めて課題は山積している状況で、再稼働への手続きが無関係に進むようなことは避けて欲しいと改めて要請して終えました。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武