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onagawa

原子力規制委員会は女川原発2号機の新規制基準適合性審査において、東北電力の原子炉設置許可変更申請を認める審査書案を提示しました。12月27日を期限にしたパブリック・コメントが実施されています。

東日本大震災で被災し、壁に多くのひび割れが生じるなどしながら、審査では震災の影響が考慮されていないなどの問題があります。審査書案を認めないぞ!再稼働を認めないぞ!との声を届けましょう。

締め切り 12月27日(金)
パブリック・コメント以下から直接出すことができます。
http://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20191128_01.html
以下は金曜日の官邸前で配布したものです。原子力市民委員会によるパブコメ文例 http://www.ccnejapan.com/?p=10708 を参考にさせていただきました。

女川原発審査書案への「パブコメのタネ」

◆全般的な意見

・福島第一原発事故は収束しておらず、検証も終わっていません。福島第一原発と同型で老朽炉である女川原発2号機を動かすべきではありません。

・福島第一原発事故の検証は不十分であり、原因もわかっていません。津波前の地震の影響についても検証が不十分です。福島原発事故を教訓にするというのであれば原因の究明を先に行うべきです。

・重大事故を想定した避難計画を含む原子力防災計画が適切で実効性のあるものかどうかを確認する法的な手続きがなく、審査でも検討の対象となっていないのは重大な欠陥です。

・避難計画の実効性は確認されていません。病院や介護施設や自宅の要配慮者の避難や地震や台風などとの複合災害については全く目途が立たない状況です。再稼働の手続きを進めるべきではありません。

・東日本大震災では道路が寸断され交通がまひしました。緊急時に安定ヨウ素剤を備蓄場所まで取りに行くことなどできません。安定ヨウ素剤は5キロ以遠でも事前配布が必要ですが、そのような体制にはなっていません。

◆震災の影響について検証がされていない

・女川2号機には、東日本大震災により損傷を受けた施設や機器が多くあります。例えば原子炉建屋の耐震壁に多数のひび割れ(1130箇所)が確認され、東北電力は建屋の剛性が最大70%低下していることを規制委員会に報告しました。
ところが、被災した施設や機器の補修の実施とその実効性を検証したのかどうかについて、審査書案には何ら記載がありません。検証を行った上で再度審査を行うべきです。

◆強い余震による影響が考慮されていない

・熊本地震では強い揺れがくり返し発生しましたが、耐震評価ではくり返しの強い揺れを想定していません。

・熊本地震では、最⼤震度が7の地震が間を置かずに2度発生しました。その後も⼀か月の間に最⼤震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回も発生しています。原発の耐震審査では、通常運転による影響に加えて、基準地震動による1回の揺れに耐える設計であればよいことになっており、熊本地震の教訓が反映されていません。

◆水蒸気爆発が考慮されていない

・女川原発では、炉心溶融事故が発生し、原子炉圧力容器から溶融燃料が流出した場合、コンクリートと反応して水素や有毒ガスが発生するのを防ぐことを優先し、溶融燃料を他の原発と比べても非常に深い水深約4メートルの水を張ったペデスタル部に落とし、水冷することにしています。

・この場合、溶融燃料と水が接触し、水蒸気爆発が生じるおそれがありますが、東北電力は、水蒸気爆発は発生しないことを前提にしています。

・審査書案は、「実験的研究と分析から発生確率は極めて低いと判断されている」としたうえで、「申請者が水蒸気爆発の発生可能性は極めて低いとしていることは妥当」と判断しています。しかし過去に起きた金属工場などでの水蒸気爆発事故や実験事例からも、水蒸気爆発が起こらないとは言えません。

◆汚染水事故に対応できない

・適合性審査では、福島第一原発で現に起きている汚染水事故…格納容器下部が破損して冷却水が漏れ、汚染水となって外部に放射能が大量に拡散している…について検討しておらず、防止策もとられていません。これは、格納容器が破損した場合でも、放射能の大量の拡散を防止する策を講ずるよう要求する新規制基準に違反します。

・設置許可基準規則55条では、格納容器の破損に至った場合等において「工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない」とされています。ところが、東北電力の対策は、格納容器上部が破損し、気体の放射能が放出した場合、それを放水砲で叩き落とすというだけです。

・また、海洋への放射能拡散防止対策として設置する設備に挙げているのはシルトフェンスですが、これは放水砲の水の拡散防止対策であり、溶融炉心の冷却水を起源とする高濃度汚染水の拡散を防ぐことはできません。

◆地震動は少なくとも既往最大1700ガルに

・震源を特定せずに策定する地震動について、2008年岩手・宮城内陸地震及び2000年鳥取県西部地震を参照して620ガルとしています。

・これは、中越沖地震で基準値を大きく超えた柏崎刈羽原発の1699ガルに比べるとあまりに小さい値です。最大加速度は少なくとも既往最大の1700ガルにすべきです。