原子力規制委員会は、傍聴者を入れない正常ではないやり方で適合性審査を続け、青森県の六ヶ所再処理工場について、5月13日にも事実上の合格書にあたる「審査書案」を出そうとしています。
いま原子力規制委員会は、そのすべての能力を、感染拡大防止と現状の原子力施設の安全管理のために使うべきだと考えます。それに六ヶ所再処理工場の審査は課題山積で、とても審査書案が出せる状況にはないはずです。
六ヶ所再処理工場の審査を進めないことを求める要望書を、呼びかけ7団体、賛同203団体の合わせて210の市民団体の連名で、本日、原子力規制委員会にFAXにて提出しました。
追記:賛同団体の追加等ありました。(5/19)
呼びかけは以下の7団体です。
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団(青森県)
三陸の海を放射能から守る岩手の会(岩手県)
国際環境NGO FoE Japan(東京都)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都)
原子力規制を監視する市民の会(東京都)
グリーン・アクション(京都府)
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)
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六ヶ所再処理工場の審査を進めないことを求める要望書
原子力規制委員会委員長 更田 豊志様
六ヶ所再処理工場の適合性審査について、更田委員長は記者会見の場で、「落
ち着いた環境下で議論を見ていただく必要もある」としながら、「(感染症対策
の長期化を理由に)いつまでも後送りするのも、正しくはない」「審査書案を委
員会での俎上に上げて議論を始めるということは5月中に始めたい」と述べ、早
ければ5月13日にも審査書案を提示する構えでいます。
これまでの六ヶ所再処理工場の審査においては、変動地形学者による施設直下
の六ヶ所断層及び大陸棚外縁断層の知見について考慮されていない、基準地震動
の策定に用いられる経験式のばらつきが考慮されていない、十和田カルデラや八
甲田カルデラによる巨大噴火のリスクが無視されている、火山灰の厚みを55セン
チに引き上げる一方で密度を小さく見積もり、結果的に過小評価としているなど
の問題が残されています。高レベル廃液貯槽でプルトニウムが臨界量以上含まれ、
臨界事故を起こすおそれがある問題も指摘されています。
六ヶ所再処理工場が稼働すれば、海にも大気にも大量の放射能が日常的に放出
されます。福島第一原発で大量のトリチウムを含む汚染水の海洋放出の方針に対
し、地元の漁業者や市民が猛反発していますが、再処理工場からはそれを上回る
トリチウムが放出されることになります。
新型コロナウイルス感染症拡大の事態に際して、原子力規制委員会は、緊急時
に対応する各班を二つに分けて、お互いに接触しないようにするなど、感染が規
制委・規制庁に及んだ場合でも緊急時の対応体制を維持することを最優先課題と
しています。また、東京から各サイトに出向いたときは2週間待機するなど、感
染防止に努めるとしています。その一方で、頻度を落としながら、テレビ会議に
よる審査会合を、傍聴者を入れずに開き、公開原則を無視し再処理工場の本格稼
働のための審査や原発の再稼働のための審査を強行しています。
感染収束の見通しのない状況で、原子力規制委員会は、そのすべての能力を、
感染拡大防止と現状の原子力施設の安全管理のために使うべきです。日本原燃の
計画を優先し,正常でない形で六ヶ所再処理工場新規制基準適合性の審査を進め
てはなりません。
上記問題点の審査を慎重に行うまでは,5月13日の委員会も含め、合格書にあ
たる「審査書案」を審議しないよう強く求めます。
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