みなさまへ

六ヶ所再処理工場の審査を進めないよう求める要望書には、全国から203団体の賛同をいただきました。呼びかけ7団体と合わせて210団体(その後の追加を入れると218団体)でFAXにて提出し、マスコミにも報じていただきました。

ところが、原子力規制委員会はこれを無視する形で本日の定例会合で合格を前提とした「審査書案」を提示し、短時間の議論で即日了承してしまいました。悔しい限りです。これから30日間のパブコメ期間に入ります。

これに対し、要望書の呼びかけとなった7団体で抗議声明を発出しました。パブコメには批判意見を突き付けていきましょう。

抗議声明(PDF)

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

声明:六ヶ所再処理施設の操業に向けた「審査書案」とりまとめに抗議する

2020 年 5 月 13 日

原子力規制委員会は、六ヶ所再処理施設の事業変更許可申請について、本日の定例会合で議題にあげ、 合格を前提とした「審査書案」について規制庁職員と担当した委員から説明を受けた後、40 分ほど議論 を行なった。委員の一人から、重大な臨界事故で放出された大量の放射能を廃ガス貯留槽に貯めるとい うが、貯めたものはどうするのかと質問があったが、審査の範囲外というだけであった。また更田委員 長は、今回、原燃が使用済み燃料を 15 年以上貯蔵したうえで再処理するとした方針を、日常的な放射 能放出が低減できると評価した。しかし、たとえ 15 年以上貯蔵したとしても、クリプトンもトリチウ ムも半分程度にしかならず、膨大な放射能が周辺の空と海を汚染し続けることになる。トリチウムに関 していえば、福島第一原発サイトの汚染水に含まれるトリチウムをはるかに超える量が排出される。「審査書案」は承認され、6 月 12 日までのパブリック・コメント期間に入るとした。

そもそも六ヶ所再処理施設の事業変更許可申請には、活断層評価、地震動評価、火山影響評価、プル トニウムの臨界、その他の重大事故評価等々、安全規制上の難問・疑問が山積みしており、更なる慎重 な審議の必要がある上に、現時点で急いで再処理事業を推進しなければならない理由はどこにも存しな い。すなわち、本件は不要不急の典型事案である。従って、原子力規制委員会は、六ヶ所再処理施設の 安全確保に全てを集中しなければならない状況にある。

全国の市民団体 210 団体が連名で要望書を提出するなど、多くの住民、市民が本日の会合延期を要望 したにもかかわらず、原子力規制委員会は会合を強行した。原子力規制委員会設置法の要求する中立公 正な立場をかなぐり捨てて、助言と誘導を繰返したあげくにまとめた補正書を追認した出来レースが、 今回の審査の実態であると言わざるをえない。さらに、新型コロナ感染拡大防止を名目に公開原則を踏 みにじって会合を強行して審査書案を了承し、再処理事業の推進に加担する偏向決定を下したことは、 どさくさに紛れた「火事場泥棒」の誹りを免れない暴挙である。

強く抗議するとともに、審査の中断を改めて要求する。

核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団(青森県)
三陸の海を放射能から守る岩手の会(岩手県)
国際環境 NGO FoE Japan(東京都)
国際環境 NGO グリーンピース・ジャパン(東京都)
原子力規制を監視する市民の会(東京都)
グリーン・アクション(京都府)
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)

連絡先 核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団 青森県八戸市根城 9-19-9 浅石法律事務所内 0178-43-1425
原子力規制を監視する市民の会 東京都新宿区下宮比町 3-12-302 090-8116-7155(阪上)