みなさまへ

6月17日、参議院議員会館にて、六ヶ所再処理工場の安全上、経理上の問題について、規制庁及び経産省との交渉を行いました。交渉にはオンラインで美浜の会の小山英之さん、岩手の会の永田文夫さん、龍谷大の大島堅一さんはじめ、50名近い方にご参加いただきました。会場には福島みずほ議員、菅直人議員、宮川伸議員がみえました。オンラインでもご参加いただきました。

https://youtu.be/nwFec_CA6PQ

◆トリチウム放出の告示濃度基準は再処理工場にも適用すべき

・トリチウムの放出について、原発では告示濃度限度として1リットル当たり6万ベクレルという基準があります。ところが六ケ所再処理工場には限度がなく、アクティブ試験の実績では1500倍に相当する1リットル当たり9千万ベクレルが放出されました。本格稼働すれば、福島第一原発で海洋放出が問題になっている汚染水を大きく上回る量が日常的に放出されることになります。

・規制庁は、再処理工場では、食べ物など放出放射能による影響で一般公衆年間1ミリの基準を超えないことを確認しているから問題ないと説明しました。しかし、原発の告示濃度限度も、敷地境界で空気や水を摂取し続けても年間1ミリを超えないことから定められたものです。再処理工場で同じ基準を適用しないのはなぜか。

・規制庁は驚いたことに、再処理工場の危険性を語りはじめます。原発では放射能は燃料の中に閉じ込められており、放出される核種は限られている。しかし再処理工場は、燃料を切断してあらゆる核種の放射能が出てくる。あらゆる核種が出てくるので各種ごとに告示濃度限度を定めるのは大変だから適用しないと。

・ありとあらゆる核種が出てくるのであればなおさら、規制を厳しくしなければならないはずです。再処理工場が告示濃度限度を定めないために基準が緩くなっていることを認めるかと問うと、結果的に緩くなっていることを認めました。市民側は、改めて濃度基準を設けずに大量放出を行うべきではないと主張しました。

◆放出放射能の低減を求める基準21条にも違反する

・トリチウム、クリプトンや炭素14については、放出放射能を低減する設備はなく、全量放出が方針となっています。これは、放出放射能の低減を求める基準21条に違反します。このことを質すと、ただ、管理目標値(年50マイクロシーベルト)を下回ればよいというだけでした。

◆ガラス固化の構造的欠陥が明らかになったアクティブ試験について評価せず

・アクティブ試験ではガラス固化でトラブルが続出し、放射能漏れ事故を起こして止まってしまいました。構造的欠陥が明らかになったのですが、今回、規制委員会による審査では、アクティブ試験については結果の確認は行っていないとのことでした。

・なぜ確認しないのかと聞くと、今回の事業指定許可では基本設計をみる。アクティブ試験については、後段の詳細設計(工事計画認可及び使用前検査)でみるとのこと。しかしガラス固化の欠陥は構造的なもので、基本設計にもかかわるはずです。それについて議論したのかと聞くと返事はありませんでした。

◆高レベル廃液貯槽等でプルトニウムが臨界事故を起こす可能性

・高レベル廃液貯槽と不溶解残渣廃液貯槽を特定して、プルトニウムが臨界事故を起こす可能性を検討したのか、具体的に聞いたのですが、規制庁側は、一般的に臨界事故対策としてどのような審査を行ったのか述べるだけでした。具体的に高レベル廃液貯槽と不溶解残渣廃液貯槽を臨界事故の評価から外した理由につい
て改めて聞くことになりました。

◆再処理計画は破綻している

・再処理の事業計画について、40年で32,000トンの再処理を行うことが前提となっていることを確認したうえで、再稼働が進まず、電力会社からの拠出金が不足することや、プルサーマルは危険で反対が強く、原子力委員会決定により再処理が進まないことを問題にしました。
・経産省は、将来のことはわからない、再処理機構と原燃の間の契約上の話だから機構に聞いてくれと逃げました。
・核燃料サイクルは全体が破綻しており、再処理もプルサーマルもやめるべきだと述べて終わりました。

質問事項
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200617_Q.pdf

資料(濃度規制、アクティブ試験、ガラス固化体など)美浜の会の小山さんの資料より
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200617_shiryo.pdf

資料(財務的側面)
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200608_oshima.pdf#page=47