東海第二原発の原発の広域避難計画について茨城県に申し入れ
新型コロナ対策による計画の見直しと屋内退避では内部被ばくを防げない問題

◎県「コロナ対応や複合災害含めて、避難計画の実効性が検証されなければ再稼働の判断はできない」と明言

◎現状で避難所のスペースは一人2平米であまりに狭く、見直しが必要だが、これ以上広げると94万人の避難先の確保が困難となる

◎屋内退避の効果について、茨城県は国にデータを求めていた。今後も国との協議を続ける

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10月14日(水)に、茨城県庁にて、原子力防災を考える会@茨城、原子力規制を監視する市民の会、FoE Japanの3団体で、東海第二原発の広域避難計画に関する要望書を提出し、事前に提出した質問に沿い、県の原子力安全対策課の方と意見交換を行いました。要望書を添付します。東京新聞の報道も。要望事項は以下の5点です。

茨城県への要請書

ken ibaraki tokyo-shinbun

1.東海第二原発の新型コロナウィルス感染症に対応した広域避難計画の見直しについて、公開の場において、具体的に課題を上げ、県民の意見も十分に反映しながら検討を進めてください。

2.その場合、風水害や地震、津波など、自然災害との複合災害についても考慮してください。

3.屋内待避では内部被ばくを十分に低減できない問題について、国及び関係自治体と協議し、屋内退避を基本とする現状の避難計画の見直しの作業に入ってください。

4.屋内退避が安全であることを印象付ける告知、宣伝はやめてください。

5.上記で指摘した見直しや検討により、東海第二原発の広域避難計画の見直しが図られ、その実効性が確認されるまでは、東海第二原発の再稼働の可否に係る議論は行わないでください。

コロナ対策については、避難所と避難車両等におけるスペースの確保が課題だと回答。避難所での一人当たりの平米数を聞くと、現状は2平米。コロナ対策でどうするのかは未定との回答がありました。

先月、水戸市の避難先である柏市と交渉した際、柏市は、自然災害などによる自市の避難計画は4平米としており、コロナ対策で、これをさらに大きくするために追加の避難所を探している、原発事故で水戸市の受け入れを一人何平米にするかは水戸市が決めることだが、まさか2平米ということはないでしょう。もしそのような提案があれば、柏市なりに意見は述べさせていただく‥などと述べていました。

このことを紹介すると。いやぁ。94万人の避難先を確保するために2平米でないと難しい。新潟県や長野県にまで広がってしまう‥などと述べていました。この時点で既に実効性は失われているのではないでしょうか。

実効性が確認出来ない以上、再稼働については判断すらできない状況ですねと迫ると、知事の意見書を引用しながら、あっさりと認めました。

県は、①課題と対応、②避難計画の実効性の検証、③実効性ある避難計画の策定、と記したペーパーを配って説明。これら全部をクリアしたうえで再稼働の可否について意見を聞き判断するとのこと。いまはまだ①が緒についただけだと。

コロナ対応や複合災害含めて、避難計画の実効性が検証されなければ再稼働の判断はあできないとも。このへんは不気味なくらい満点の回答でした。すでに計画がまとめられたとされている5市1町についても見直しは必至だと。

屋内退避問題について、県は、屋内退避の効果についてデータを示すよう国に要求したのは茨城県だったと回答しました。県は今回の内閣府の暫定報告について、内部被ばくの評価は、日本家屋での評価がないのが問題であり、引き続き協議を続けたいと述べました。

今日の県の回答を素直に信じれば10年以上かかる感じです。しかし一方で23年春の再稼働に向けて工事は着実に進んでしまっています。しっかりと監視し、さまざま圧力をかけ続けるしかないと思いました。参加されて皆さん、ありがとうございました。

続けてひたちなか市や水戸市で市職員との意見交換を勉強会形式で実現しようということになりました。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)