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原子力推進方針の撤回を求める要請・交渉報告

〇福島県民の気持ちを逆なでしている。事故の被害に向き合うべき(福島から)
〇福島原発の廃炉も進まない、核のゴミの処分も決まらない状況で原発推進などありえない。ただちに撤回すべき(市民側)
〇再稼働について「国が前面に立つ」中身を説明できず→住民の議論に国が介入すべきではない。この方針は撤回すべき(市民側)
〇原発は止まっていてもコンクリートなどで劣化は進む(規制庁)→停止中は運転期間にカウントしなどありえない(市民側)
〇原発方針は経産省の審議会で検討予定(エネ庁)→原子力村の推進派で占める審議会では住民の意思は反映されない(市民側)
〇新増設・リプレースは「依存度を下げる」とのエネルギー基本計画の方針とは矛盾しない(エネ庁)→どう考えても矛盾する(市民側)
〇福島原発事故以降に建てた原発「次世代革新軽水炉」(エネ庁)→従来の技術にすぎず革新でもなんでもない(市民側)

当日の映像をこちらにアップいたしました。
https://youtu.be/E297HqjqqFI

交渉の冒頭で原発推進政策の撤回を求める要請書を提出しました。要請書には901人、223団体の賛同をいただきました。ありがとうございました。
提出した本文と団体名のみ記載ものはこちらをご覧ください。
https://foejapan.org/wpcms/wp-content/uploads/220912.pdf

要請書には引き続き賛同を募集しています(2022年12月末まで)
ご賛同はこちらのフォームから(個人・団体)
https://forms.gle/JvdTjCgBuNgHVQJC7

要請・交渉には、オンライン75名、会場約50名、合わせて120名以上の参加がありました。国会閉会中でしたが、今回の設定をお願いした社民の福島みずほ議員の他、立憲の逢坂誠二議員、菅直人議員、共産の岩淵友議員、れいわの櫛淵万理議員にご参加いただきました。

◆前段集会

前段集会では、来年夏以降に「国が前面に立って」再稼働を進めるとされた7基の原発の含む地元、女川原発(日野正美さん)、東海第二原発(美澤道子さん)、柏崎刈羽原発(山田秋夫さん)、美浜・大飯・高浜原発(石地優さん)、島根原発(芦原康江さん)、玄海原発(石丸初美さん)からご報告いただきました。名古屋で老朽炉の廃炉を求めて裁判を闘う草地妙子さんからも報告を受けました。

各地で原発再稼働反対の声が強くあり、避難計画の実効性について課題山積の状況であり、安全対策工事も進まず、とても再稼働ができる状況にはないことが報告されました。

島根の芦原さんから、住民の意見を反映して欲しいと住民投票の実現するための取組みをしてきたが、取組みの最中に、周辺自治体の同意手続きが一気に進んでしまった。その背景に国会議員を含め、国による圧力があったと聞いているとし、住民の同意(不同意)手続きに国が介入する危険性が訴えられました。

福井の石地さんからは、関電の原発がトラブルが絶えず、にもかかわらずいそいで再稼働しており、さらに危険を高めていること、問題を周辺の住民に訴える取り組みを関西と連携して行っていることなどが報告されました。

名古屋の草地さんは、40年を超える高浜原発では圧力容器の劣化が進んでおり、蒸気発生器が破断して緊急冷却装置がはたらいたときに、圧力容器が破壊される最悪の事態も起こり得るとし、老朽炉のさらなる運転延長の危険性を訴えました。

次世代炉の問題点や、検討している原子力小委員会が推進派で占められている問題について、原子力資料情報室の松久保さんから報告がありました。

◆交渉

要請書の提出のあと、資源エネルギー庁から3名、原子力規制庁から1名参加し、事前質問に従って交渉を行いました。

〇7基の再稼働「国が前面に立つ」説明できず

来年夏以降7基の原発再稼働について「国が前面に立ちあらゆる対処」を行うとした政府方針について、対処の中身を聞きましたが、国が国民に説明すると言うだけで中身のないものでした。市民側は、島根の例を挙げながら、地元の議論に国が介入するようなことはあってはならないとし、方針の撤回を求めました。

〇原発は止まっていても劣化は進む(規制庁)

原発の運転期間のさらなる延長について、原発の停止期間を運転期間にカウントしないことによって延長する策が検討されていることについて、エネ庁は今後検討としていましたが、原子力規制庁に停止中でも劣化が進むのではないかと聞くと、コンクリートを例にあげて、停止中でも劣化が進む機器があると回答しました。停止中はカウントしないなどありえないことです。

〇推進派で占める審議会で検討すべきではない

原発方針について、エネ庁は、経産省の審議会の場で検討するつもりだとし、その場で住民の意見を反映させると述べました。しかし次世代炉の検討を行っている原子力小委員会は、圧倒的に推進側(19対2)で占められ、経産省にさらなる推進圧力をかける場となっています。このような場で住民の意見が反映されるはずもないとし、市民側は反発しました。

〇原発増設方針はエネルギー基本計画にも反する

新増設・リプレース方針が原発の「依存度を下げる」としたエネルギー基本計画に反するのではないかと聞きました。エネ庁は増設しても事故前よりは依存度は減るなどと回答していましたが、どう考えても矛盾しています。

〇次世代革新軽水炉は名前だけ

次世代炉については、最も現実性が高いとされる「革新軽水炉」について、柏崎刈羽原発や大間原発で採用されているABWRが含まれるか聞きました。あいまいな回答でしたが、福島原発事故後に建てるものはすべて「革新軽水炉」のようです。既存の技術を「革新」と名乗るだけで安全を装っているとしか思えません。

〇原発推進方針の撤回を

市民側から、福島原発事故の廃炉も進まず、核のゴミ処分も進まない状況で原発推進などありえないとの指摘がありました。エネ庁は六ヶ所再処理の話を持ち出しましたが、計画は延期延期で動かず、動いたところでやっかいな核のゴミが増えるだけでなんの解決にもなりません。

今回は脱被ばく裁判と日程が重なったため、福島からの発言は予定していなかったのですが、途中から入られた郡山の蛇石さんに発言いただきました。原発推進方針は原発事故で被害にあった福島県民の気持ちを逆なでするもの、事故の被害をきちんと向きあうべきというものでした。浪江町から避難されている菅野みずえさんからも避難者がいるなかでなぜ推進するのかとの発言がありました。あらためて原発推進方針の撤回を要求して交渉を終えました。