東海第二原発の避難所の面積について、一人2平米(畳1枚)では狭すぎるとして、私たちは茨城県に対して見直しを求めて交渉を重ねてきました。2021年10月の県議会で大井川知事が見直しを約束するところまでこぎつけました。

茨城県は昨年、県の原子力防災計画の改訂に着手し、県民からの意見募集を行い、2023年1月25日に改訂しました。避難所の面積について「一人あたり3平米以上」との文言が入ることになりました。「3平米以上」となったので拡大したように見えるのですが、「3平米以上」には通路も含まれており、専有面積でみると2平米も許容されるのです。非常にずるいやり方だと思います。意見募集では、通路等を除いた面積について一人4平米以上とすべきだとの意見を出したのですが、反映されませんでした。避難所の問題を検討するために県が設置した委員会でも同様の意見が出たようですが、これも無視されたことになります。

交渉を行ってきた団体の連名で共同声明を発出しました。東海第二原発はシミュレーションの公表問題もあるので、機会をみてまた交渉の場を持ちたいと思います。共同声明には資料も添付しました。東海第二原発の再稼働問題に関わるみなさん、また、全国で原発の避難問題に取り組むみなさんとも共有させていただきたいと思います。拡散のほどお願いいたします。

共同声明(資料付)PDF

共同声明 東海第二原発事故時の避難所の専有面積一人2平米では狭すぎる

原子力防災を考える会@茨城(茨城県)
エナガの会(千葉県東葛地域)
原発止めよう!東葛の会(千葉県東葛地域)
国際環境NGO FoE Japan(東京都)
原子力規制を監視する市民の会(東京都)

茨城県は1月25日に県の地域防災計画(原子力災害対策計画編)の改定版を公表し、東海第二原発事故時の避難所の面積を避難者一人当たり「3平方メートル以上」にすると明記した。避難所の面積については、一人当たり2平方メートルを前提に策定された広域避難計画に対し、感染症予防や居住環境、プライバシー確保の観点から狭すぎるとの指摘が、議会や私たち市民団体を含めて各所でなされ、2021年10月の県議会において大井川知事が見直しを約束していた。

改訂は「3平方メートル以上」となり、拡大したようにみえる。しかし茨城県が先行して2021年に改訂した「避難所運営マニュアル作成指針」によると、「3平方メートル以上」には通路も含まれている。避難者の専有面積(通路等を除いた居住面積)では、相変わらず一人当たり2平方メートルであり何ら改善されていないのである(資料1)。今回の改訂は以下の点で問題がある。

・ 避難者の専有面積一人当たり2平方メートルが許容されるが、これでは十分な感染症予防を図ることができない。国の基準をも下回っている(資料3)。
・ 水戸市の避難者の受入れ先である千葉県松戸市は、避難者の受入れ人数の算出にあたり、一人当たり4平方メートルを前提としている。避難先により一人当たり2平方メートルであったり4平方メートルであったりと「避難所格差」が生じてしまうことになる。
・ 福井県が作成した「原子力災害における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」【避難所レイアウト例】においても、一人当たり4平方メートルを前提としている(資料2)。
・ 被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準であるスフィア基準では、ブライバシーを確保するためにも避難所内では「1人あたり最低3.5m2の居住スペース」を確保するよう求めている。この場合「居住スペース」は通路等を除いた面積と解すべきである(資料4)。
・ 県は今回の改訂に際し意見募集を行った。県民から居住面積2平方メートルでは狭すぎるとの意見が出され、県が設けた委員会でも改善を求める声が出たがこれを反映しなかった。

すべての避難者が等しく十分な感染症予防を図り、最低限の居住環境を確保できるよう、地域防災計画は、「1人当たり3m2以上とする」ではなく、少なくとも「1人当たりの専有面積(通路等を除いた居住面積)を4m2以上とする」とし、指針についてもそれを前提に見直しを図るべきである。
また、こうした状況では、東海第二原発において重大事故が発生した場合の避難計画の実効性はないといえ、言うまでもなく東海第二原発の再稼働は許されない。

2023年1月28日

連絡先 162-0822東京都新宿区下宮比町3-12-302
原子力規制を監視する市民の会(阪上090-8116-7155)