再稼働が予定されている柏崎刈羽原発6号機で制御棒駆動機構のトラブルにより制御棒1本の制御ができなくなった件で、原因が未解明の状況で再稼働に向けた健全性確認を再開しないよう求める緊急要請を行いました。規制庁・規制委を監視する新潟の会、原子力規制を監視する市民の会、国際環境NGO FoE Japanの3団体の連名による緊急要請書を新潟県知事、東京電力社長、原子力規制委員会委員長あてで10月17日に提出しました。新潟県知事あてについては新潟県原子力安全対策課に、東京電力社長あてについては東京電力新潟本社に直接手渡ししました。

KK6 seigyobo

緊急要請(PDF)
http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2025/10/KK6-seigyobo-kinkyu-yosei.pdf

関連資料
10月9日 東電の記者説明資料
https://www.tepco.co.jp/niigata_hq/data/publication/pdf/2025/2025100901p.pdf

5月8日 燃料装荷前に実施した制御棒引抜き挿入試験について 東電の記者説明資料
https://www.tepco.co.jp/niigata_hq/data/publication/pdf/2025/2025050801p.pdf

上記の制御棒引抜き挿入試験についてのYouTubeショート動画(6月3日付SNS「X」の東電公式アカウントにて紹介)
https://www.youtube.com/shorts/HvJ_Nyy6zYM

柏崎刈羽原発6号機・制御棒駆動機構のトラブルに関する緊急要請

2025年10月17日

新潟県知事 花角 英世様
東京電力社長 小早川 智明様
原子力規制委員会委員長 山中 伸介様

規制庁・規制委員会を監視する新潟の会
原子力規制を監視する市民の会
国際環境NGO FoE Japan

柏崎刈羽原発6号機・制御棒駆動機構のトラブルに関する緊急要請

東京電力柏崎刈羽原発で再稼働が予定されている6号機において、制御棒駆動機構のトラブルにより、制御棒1本が引き抜けない事態が発生している。東電は、原因もわからないのに、当該の1本について予備品と交換するだけで再稼働に向けた健全性確認を再開するとしている。制御棒駆動機構は緊急時に制御棒を確実に挿入し、核分裂をとめなければならない安全上非常に重要な機器である。制御棒が制御できないという深刻な事態に際し、原因究明よりも再稼働を優先する姿勢は許されない。

要 請 事 項

一.柏崎刈羽原発6号機の制御棒駆動機構のトラブルについて、原因が明らかでない状況で、健全性確認を再開し再稼働に向けた作業を進めることがないよう強く要望する。

要 請 理 由

東電は6号機において再稼働に向けた健全性確認の準備作業を行う中で、原子炉内の核分裂を制御する制御棒の駆動機構に不具合が生じ、制御棒1本が全挿入の位置から引き抜くことができなくなったと8月25日に発表した。これにより健全性確認は中断された。

東電によると、トラブル発生後、電動駆動による挿入・引抜きができず、電動駆動部を取り外し、ジャッキを使ってボールねじを直接上下させたところ、ようやく9月20日にひっかかりが解消したという。制御棒は引抜きも挿入もできず、全く制御できない状態であった。

その後、東電は10月9日の記者会見において、制御棒が引き抜けなかったのは「ローラーがガイドチューブに引っかかったことによるもの」と推定したとし、今後は、「当該制御棒駆動機構を予備品との入れ替え…引っかかりがないことを確認」、「他の204体についても、電動での挿入・引抜き操作を行い、モーターの動作状況を電流測定し、引っかかりの兆候がないか1体ずつ確認」し、問題なければ健全性確認を再開するという。

しかし、回転して制御棒の動きを円滑にするためのローラーがなぜ機能しなかったのか(東電が示した図ではローラーが飛び出しているようにもみえる)、なぜ、どのようにして外側のガイドチューブに引っかかったのか、なぜ当該の一本が動かなくなったのか、他の制御棒に同じ事態が生じるおそれはないのか、何も明らかになっていない。原因が解明されたとはとてもいえない。東電に問合せても原因の解明はこれからだという。

また、東電は、今年5月7日から制御棒205本全数の挿入・引抜き機能試験を既に実施しており、6月3日付SNS東電公式アカウントにて、「全ての制御棒駆動機構が正しく動作することを確認しています」と動画付きで報告していたが、この時の試験で当該不具合を発見することはできなかった。このことは、電動での挿入・引抜き操作だけで「引っかかりの兆候」の確認などできないことを示している。原因究明よりも再稼働を優先する姿勢は許されず、健全性確認を再開すべきではない。

(連絡先)東京都新宿区下宮比町3-12-302
090-8116-7155
原子力規制を監視する市民の会