みなさまへ<拡散希望>
高浜原発1・2号機の原子炉設置変更許可申請の審査書案に対するパブリック・コメント(意見募集)が25日を期限に実施されています。40年を超える老朽炉の運転にノーの声を突き付けましょう。
★「パブコメのたね」をつくりました。参考にしてください!
<3/21改訂版> 高浜原発1・2号機パブコメのたね
★パブリック・コメント(意見募集)の詳細は以下をご覧ください
http://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20160225_01.html
審査書案そのものはこちらです
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000140591
パブコメのたね より
<審査書の位置付け[審査書案P2]>
運転開始40年を超える老朽炉に鞭打つような運転をさせないで
・高浜原発1・2号機は、運転開始40年を超えており、再稼働のためには、2016年7月7日までに、運転期間延長のための審査を終えていなければなりません。この審査の認可は、新規制基準適合性審査のうち、原子炉設置許可と工事計画認可を得ることが前提となっています。(次ページの関電資料参照)。審査を終える目途は立っていません。
・このような状況で、おおまかな方針を確認するだけの原子炉設置変更申請を許可すべきではありません。少なくとも、運転期間延長のための審査を終えてから判断すべきです。
・このまま審査を続けても、期限ありきで杜撰な審査になることは目に見えています。申請を取り下げて廃炉にするよう、指導すべきです。
工事計画認可や運転期間延長認可と合わせてパブリック・コメントにかけなければ意味がありません。
・原発の重要な機器が基準地震動に耐えられるかどうかを確認する耐震安全性の確認やケーブルの防火対策の妥当性などは、工事計画認可で行うとされています。また、老朽炉の劣化を想定した耐震安全性の評価や保全計画については、運転期間延長認可で行うとされています。パブリック・コメントは、これらをセットで行わなければ意味がありません。
・工事計画認可や運転期間延長認可については、最終的に原子炉規制庁で判断し、原子力規制委員会に諮らず、パブリック・コメントも実施しない方針です。意見募集の意味がありません。
重大事故を想定した避難計画を含む原子力防災計画が適切で実効性のあるものかどうかを確認する法的な手続きがなく、適合性審査でも検討の対象となっていないのは重大な欠陥です。
・高浜原発について、要援護者の避難、安定ヨウ素剤の配布、スクリーニング場所の確保、避難経路の特定など、どの項目をとっても、実効性ある避難計画は立てられていません。また、今策定されている避難計画は、5キロ以遠では、高レベルの放射能が観測されてはじめて避難を開始するというもので、住民の被ばくを前提としています。
・米国では、原子力防災計画の策定が許可要件に含まれています。米国原子力規制委員会による許可がないと原発の運転はできません。
・大津地裁の仮処分決定も、福島原発事故で「事故発生時に影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さとその避難に混乱が生じた」ことから、「地方公共団体個々によるよりは、国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要」「避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか、それ以上に、過酷事故を経た現時点においては、そのような基準を策定すべき信義以上の義務が発生しているといってもよい」と指摘しています。
福島原発事故の検証が不十分であり、原因もわかっていません。津波の前に地震により機器が破損した可能性についても検証が不十分です。福島原発事故を教訓にするというのであれば原因の究明を先に行うべきです。
寄せられたパブリック・コメントについては、公開の場で慎重に審議した上で反映してほしい。
・川内原発や高浜原発3・4号機の審査書案では、寄せられた意見と反映の仕方について、原子力規制委員会会合で簡単な報告があっただけで、多くの意見が反映されませんでした。
・少なくとも適合性審査の会合の場で、反映の仕方について公開で議論すべきです。
・審査書案の確定の前に、住民からの意見を直接聞く公聴会を合わせて開催すべきです。
<耐震安全評価[審査書案P13~20]>
炉内構造物の耐震評価は、規格に従った従来の手法では、許容値を超えてしまうことが明らかになっています。この時点で、新規制基準には適合しないと判断すべきです。
・現在、審査の過程で大きな問題となっているのが、炉内構造物の耐震安全性です。基準地震動が大きくなり、基準地震動が原発を襲った時に機器にはたらく力が、従来の手法で計算すると、許容値を上回ってしまうのです。従来の手法というのは、耐震工認審査ガイドや耐震設計技術指針に示されたやり方ですから、この段階で、新規制基準に適合しないと判断すべきです。
・関西電力は、規格や基準に違反せずに炉内構造物の耐震安全性をクリアするために、一次冷却材ループの減衰率を従来は1%としていたものを3%にしています。規格に従わない評価を用いる場合には、根拠となる実規模試験データが必要です。関電は美浜2号機の蒸気発生器に総重量1.8トンの錘をぶつける試験を予定しています。これを住民や自治体の了解もなしに、急ぎ実施するというのです。このような実験はやめさせるべきです。
・また、試験結果は工事計画認可に反映させるとしています。耐震安全性という重要な事項で、安全性の具体的な検討が工事計画認可に先送りとなっています。少なくともこの検討結果が出るまでは、許可を出すべきではありません。
<電気ケーブルの火災影響[審査書案P69~70]>
可燃性ケーブルに防火シートを撒くだけの対策でよいのか。
・新規制基準により、ケーブルの防火対策は厳しくなり、原則、難燃性ケーブルの使用が義務付けられています。高浜原発1・2号には可燃性ケーブルが使われており、本来ならすべて交換する必要があります。関西電力はケーブルのまわりに防火シートを撒くことによって、同等の効果が得られるとしていますが、その確認は、工事計画認可の審査に先送りとなりました。
・1・2号機合わせて約1,300キロメートルというケーブルの工事も問題です。実際には施工できない箇所もありますし、確認作業をどうするのでしょうか。原子力規制庁の検査がまったくあてにならないことは、柏崎刈羽原発に端を発するケーブル不正敷設問題でも明らかです。
・老朽化により、ケーブルが絶縁する可能性がありますが、運転期間延長の審査に先送りとなっています。
<地震動想定[審査書案P11~12]>
地震動の想定では、過小評価が指摘されている経験式が用いられています。
・関西電力は、津波評価でもちいる地震については、日本の地震の特性に基づく経験式である武村式を用いていますが、地震動評価では入倉・三宅式を用いています。武村式で算出される地震モーメントは、入倉・三宅式の約4.7倍の値となります。
・入倉・三宅式の過小評価については、元原子力規制委員の島崎邦彦氏も、学会などで指摘しています。
・福井地裁や大津地裁の高浜原発仮処分決定でも、これまで、基準地震動を超える地震が現に発生しており、基準地震動の算定には平均像を求める方式が使われていることから、基準地震動の想定が甘いと指摘されています。
震源を特定せずに策定する地震動については、既往最大の1700ガルにすべきです。
・震源を特定せずに策定する地震動について、2000年鳥取県西部地震および2004年北海道留萌支庁南部地震を参照して620ガルとしています。これは、中越沖地震で基準値を大きく超えた柏崎刈羽原発の1699ガルに比べるとあまりに小さい値です。基準地震動の最大加速度は少なくとも既往最大の1700ガルにすべきです。
<汚染水事故防止対策[審査書案P322~327]>
適合性審査では、福島第一原発で現に起きている汚染水事故…格納容器下部が破損して冷却水が漏れ、汚染水となって外部に放射能が大量に拡散している…について検討しておらず、防止策もとられていません。これは、格納容器が破損した場合でも、放射能の大量の拡散を防止する策を講ずるよう要求する新規制基準に違反します。
・福島第一原発における高濃度の汚染水の発生は、原子炉の冷却水が溶融燃料に触れ、それが格納容器下部の破損口から流出したことが原因です。これに建屋に入り込んだ地下水が混ざり、大量の汚染水となり、施設外への大量の放射能放出に至っています。
・設置許可基準規則55条では、格納容器の破損に至った場合等において「工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない」とされています。
・ところが、関西電力の対策は、格納容器上部が破損し、気体の放射能が放出した場合、それを放水砲で叩き落とすというだけです。格納容器下部の破損による原子炉冷却水の流出と、それが汚染水という形で、施設外への放射性物質の異常な水準の放出をもたらす事態について対策はなく、適合性審査で検討もされていません。
・関西電力が海洋への放射能拡散防止対策として設置する設備に挙げているのはシルトフェンスですが、これは放水砲の水の拡散防止対策であり、溶融炉心の冷却水を起源とする高濃度汚染水の拡散を防ぐことはできません。
・福島第一原発では、汚染水の漏えいが続いていますが、これを止める対応が進んでいません。原子力規制委員会は、再稼働のための審査よりも汚染水対策を優先すべきです。
<格納容器破損防止対策[審査書案P156~183]>
大破断による冷却水喪失と電源喪失により緊急炉心冷却ができない事態が重なる重大事故において、関西電力は原子炉圧力容器への注水を放棄し、格納容器の下部に水をためて、そこに溶融燃料を落とすという手順を想定しています。これでは、溶融燃料により格納容器が破損する恐れがあり水素爆発や水蒸気爆発の危険性も高まります。
・格納容器の下部は、高浜原発1・2号機は現状では深さ5センチしか水が溜まらない構造になっています。他の原発は1メートルの深さがあります。関電は、貫通孔をふさいで上部に移動させ、ポンプで直接注水するラインを設けることによって水溜まりをつくるとしています。しかしほんとうにそれで、炉心溶融時に格納容器の損傷を防ぐことができるか、新たに設けたポンプがきちんとはたらくのか疑問です。
・溶融炉心が水と接触して生じる水蒸気爆発について、「発生の可能性が極めて低いとしていることは妥当」とした判断根拠の諸実験結果は、実機への適用性が確かめられていません。
★パブコメ・ワークショップにご参加ください
高浜1・2号機40年超え老朽原発の運転にノーを!
日 時:3月22日(火)19:00~21:00
場 所:東京しごとセンター5階セミナールーム(飯田橋駅5分)
参加費:500円
主 催:原子力規制を監視する市民の会/FoE Japan/福島老朽原発を考える会
問合せ:090-8116-7155(阪上まで)
原子力規制委員会は、2月24日に、関電高浜原発1・2号機について、新規制基準に適合するとの審査書案を了承し、パブリック・コメント(意見募集)が開始されました。高浜原発1・2号機は、40年の運転期間を満了しており、再稼働のためには、今年7月7日までに新規制基準の適合性審査と寿命延長のための審査を終えなければなりません。
審査の内実は、耐震安全評価にしても、ケーブル防火対策にしても、重大事故対応にしても、できますやりますと書いているだけ、規制委側も方針を確認しただけで、具体的な確認はすべて、この先の詳細設計の審査に先送りとなっています。関電、規制委側の双方が、期限優先の形だけ審査に走っているというのが実情です。
審査の過程で大きな問題となっているのが、炉内構造物の耐震安全性です。基準地震動が大きくなり、従来の手法では、基準地震動が原発を襲った時に機器にはたらく力が、許容値を上回ってしまいます。この段階で不適合とすべきですが、関電と規制の双方で抜け道を探っているのです。
福島第一原発の事故は、1号機が40年を迎える15日前に発生しました。悲劇を繰り返さないためにも、寿命延長は許されず、高浜原発1・2号機は直ちに廃炉にすべきです。パブリック・コメントでノーの声を突き付けましょう。パブコメ・ワークショップでは、審査の問題点について解説、議論します。意見応募の参考にしてください。