みなさまへ
原子力の最大限活用に舵を切る第7次エネルギー基本計画の閣議決定に対し、以下の抗議声明を発出しました。
PDFファイルは以下
http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2025/02/kihonkeikaku-kougi-seimei.pdf
+++++++++++++++++
原子力の最大限活用に舵を切る
第7次エネルギー基本計画の閣議決定に抗議する
本日(2月18日)政府は、「可能な限り原発依存度を低減」するとの文言を削除し、原子力の最大限活用を盛り込んだ第7次エネルギー基本計画を閣議決定した。これは、福島第一原発事故の反省と教訓を投げ捨てるものであり、けっして許されるものではない。私たちはこれに強く抗議する。
基本計画を検討した原子力小委員会などの審議会は、原子力推進の委員が圧倒的多数を占め、反対意見を無視する形でとりまとめが行われた。市民の声を聴く場はパブリック・コメントなどに限られ、そこに寄せられた多数の反対意見も反映されることはなかった。
柏崎刈羽原発では、福島第一原発事故を起こした東電による再稼働に対し、地元から強い反対の声があがっている。雪害の影響も懸念される。東海第二原発では再稼働に向けた工事で重大な欠陥が見つかっている。「原子力の最大限活用」により、原発の再稼働、運転期間の延長、運転サイクルの長期化、運転中保全の拡大等による設備利用率向上などが進めば、老朽原発に鞭打つ運転により事故の危険は飛躍的に高まる。
複合災害により孤立集落が発生すれば避難はできない。屋内退避により命を落とす恐れもある。避難計画に能登半島地震の教訓は生かされておらず、地震大国で原発推進は許されない。
六ヶ所再処理工場は「竣工に向け…官民一体で責任を持って取り組む」というが、目途は立たず、事実上破綻しているといってもよい。度重なるトラブルにより、既に放射能汚染により近づくこともできない区画(レッドセル)が多数存在する。日常的に空と海に大量の放射能をまき散らす再処理工場は、決して動かしてはならない。
使用済み核燃料の「中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を促進する」とも記す。むつ中間貯蔵では50年後の搬出先が大きな問題となっているが、基本計画は「六ヶ所再処理工場へ搬出」としている。50年後に同工場が稼働しているなどありえない。住民を欺くものだ。乾式貯蔵施設は、原発の運転継続を狙い、立地地元を核のごみ捨て場とするものだ。
基本計画は新規原発について、廃炉原発の敷地に限定せず、同じ電力会社の別の敷地でのリプレース(建替え)も認めている。莫大な建設費が必要になるため、建設段階から電気料金への上乗せで住民負担を前提とした支援策まで模索している。厳しい家計をさらに圧迫することになる。原発は決して安価な電源ではない。建設に時間がかかり、気候危機対策にならないばかりでなく、再エネや省エネに向けられるべき資金を奪い、気候危機対策に逆行するものである。
私たちの暮らしと地球環境を守るためにも、高価で見通しがなく、日常的にも放射能をばらまき、重大事故・複合災害の危険を常にはらむ原子力の利用はやめ、脱原発に舵を切らなければならない。
2025年2月18日
原子力規制を監視する市民の会
東京都新宿区下宮比町3-12明成ビル302号
TEL:090-8116-7155(阪上) FAX:03-5225-7214
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
大阪市北区西天満4-5-8 八方商事第2ビル301号
TEL:06-6367-6580 FAX:06-6367-6581