みなさまへ(拡散希望)
9月1日の午後、参議院議員会館にて、六ヶ所再処理工場のガラス固化について、規制庁と市民との交渉が行われました。会場とオンラインで130名以上が参加しました。大阪から美浜の会の島田さんと久保木さんがリアルで参加され、青森の浅石さんにオンラインで参加いただきました。設定は福島みずほ議員にお願いし、福島さんにも参加していただきました。規制庁側は核燃料サイクル関係の5名の担当者が対応しました。
総じて、「原燃がこう言っている」との回答で、規制側が主体的に規制を行う姿勢はみられませんでした。まったく無責任な規制庁です。
東京新聞「地球上で一番危険なものを放置したまま」…六ケ所村「核のごみ」再処理工場、完成優先の姿勢を危ぶむ声
https://www.tokyo-np.co.jp/article/512726
交渉は以下の4点について行いました
1.ガラス固化を再処理工場のしゅん工前に実施させること
2.ガラス溶融炉の「漏れ」の検査は実廃液でやるべき
3.高レベル放射性廃液の全量をガラス固化させること
4.ガラス固化は自主的検査ではなく使用前事業者検査として行うべき
1.ガラス固化を再処理工場のしゅん工前に実施させること
〇規制庁…原燃はガラス固化をしゅん工前に実施すると言っている
〇規制庁…ガラス固化は規制委の使用前確認の対象ではない
はじめに「しゅん工」と「操業」の定義を聞いたのですが、法的な定めはないとの回答でした。さらに聞くと、原燃は、しゅん工は使用前確認終了、操業はせん断開始としていて、規制側も同じ認識で議論していると答えました。
ガラス固化については、原燃からしゅん工前に実施すると聞いている。しゅん工前に行うことで施設の安全確認ができると言っている。具体的にはこれから。まだ規制委には図っていないので了承されていない。
では、ガラス固化が終わるまでは使用前確認証は出さないのか?と聞きましたが、ガラス固化は使用前確認(原燃が使用前事業者検査として行う法定検査を規制委が使用前確認として確認する)の対象ではないとの回答でした。ガラス固化の処理能力(70L/h)の確認はしゅん工前に行うと回答しました。
2.ガラス溶融炉の「漏れ」の検査は実廃液でやるべき
〇規制庁…「偏流」は「漏れ」ではない。「漏れ」の検査は模擬廃液でも構わない
〇市民側…トラブルの根本原因(白金族元素の堆積等)に向き合い実廃液での検査を
規制側は、ガラス溶融炉の使用前事業者検査で行う閉じ込め機能(漏れ)の確認について、実廃液でも模擬廃液でもどちらでも構わないという姿勢です。模擬廃液と実廃液の違いは、原燃が計算で確認しただけで違いはないと答えました。両者には粘り気の違いがあることも認めました。
しかし、アクティブ試験では、白金族元素の堆積と崩壊熱により「偏流」が発生し、ガラス固化体の容器にうまく入らないトラブルが生じています。こうしたトラブルは、実廃液でなければ再現できないものです。
実廃液を使わないことは、ガラス溶融炉で生じたさまざまなトラブルの根本原因に向き合わないことを意味します。交渉で規制庁は、過去のトラブルの原因が、白金族堆積と崩壊熱によるものであることは認めましたが、「偏流」は「漏れ」ではないと言い張り、模擬廃液でも構わないとの見解を崩しませんでした。
3.高レベル放射性廃液の全量をガラス固化させること
〇規制庁…全量処理すべきかどうかは規制庁としては中立、と述べた後に翻して、原燃の検討待ち。
〇市民側…規制の立場から全量処理するよう要求すべき
ガラス固化については、原燃は「固体化を完遂させることで再処理施設全体のリスクは低減する」と文書で述べ、社長会見について全量処理を前提としているとの報道がありました。規制委会合でも長崎委員が再処理施設全体のリスクを下げる必要を指摘しています。規制庁に対し、ガラス固化はいま残っている高レベル廃液の全量について実施すべきではないかと質しましたが、山中委員長は全量である必要はないとの立場、規制庁としては中立と述べるに留まりました。
4.ガラス固化は原燃の自主的検査ではなく使用前事業者検査として行うべき
〇規制庁…自主的検査として実施したものを規制検査で確認する
〇市民側…通常の規制検査ではなく使用前確認として確認すべき
ガラス固化について、なぜ自主的検査なのか、なぜ使用前事業者検査に位置づけ、使用前確認を行わないのか、規制庁は、2013年の新規制基準制定のとき、検査対象から処理能力の確認を要求する項目が技術基準から外れたからだと回答しました。
しかし、その後、2020年に、原燃が規制の要求にはないが処理能力の確認を行うとし、規制委もパブコメの回答で「性能等について…使用前確認を実施する」と述べていました。このことを指摘すると、パブコメの「性能等」は「処理能力」とは異なる、原燃が使用前事業者検査で行うとしていたが、その後、審査会合を経て、実施しないことになったと回答しました。原燃がやるとしていたものをなぜやらないことにしたのか。非常に不可解です。
ガラス固化は処理を行うことそのものが安全上必要なことです。交渉の場で、規制庁の金城氏は安全機能と生産機能は一体のものと述べていたことを確認しました。であればなおさら、健全性を確認するために実施する使用前事業者検査としてやらせるべきです。
規制庁は、自主的な検査であっても規制庁による規制検査を行うとも述べました。しかし、通常の規制検査では、保安の観点から現地に駐在する規制管理官が抜き打ちで行うもので、体制も検査の観点も使用前確認とは異なります。報告も年に数回あるだけです。このような体制で、トラブル続きで欠陥を抱えたガラス固化の確認などできるとは思えません。
青森の浅石弁護士は、「安全機能」と「処理能力」は一体のものだと指摘され、規制庁に使用前確認を行うよう強く求められました。また、青森県知事が再処理工場の実現性のある新工程を求めているが、規制委員会に届いているのか確認するよう述べられました。原燃から新しい工程表が出ていないことを確認したうえで、青森県知事もガラス固化をしゅん工前に行う工程について、実現性の高い工程表を出すように要求しているとの指摘がありました。
※9月7日に次の審査会合が開かれます。ガラス固化については、しゅん工前に全量をやらせるよう監視していきましょう。日常的に放射能を垂れ流す六ヶ所再処理工場を稼働させてはなりません。使用済み燃料の行き場がなくなれば原発を止めざるをえなくなります。乾式・中間貯蔵反対運動とも連携して稼働を止めていきましょう。
9月2日
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
