みなさまへ(拡散希望)
柏崎刈羽原発6号機の再稼働時の制御棒トラブルについて、東電は、「電流の周波数を変える部品と制御棒を動かす機械の組み合わせ設定で問題が起きたと推定している」と発表しました。発電所所長は原子炉再起動は「そんなに遠くはない」とも述べているようです。しかし、昨年6月からでも5回のトラブルを起こしている6号機の制御棒は、大きな欠陥を抱えているおそれがあります。
①2025年6月30日 制御棒1本を引抜く際、電動機が動かなかった
②2025年8月25日 制御棒1本を引抜く際、部品が引っ掛かり動かなくなった
③2026年1月14日 制御棒を引抜く際に警報が鳴った
④2026年1月17日 制御棒を引抜く際に鳴るべき警報が鳴らなかった
⑤2026年1月22日 制御棒を引抜く際に警報が鳴った
特に問題なのが、8月25日に生じたトラブルです。電気系統やプログラムの設定ミスなどではなく、制御棒駆動機構が機械的に壊れたことにより、制御棒1本が引抜けなくなったのです。
この原因につき、原子力規制庁に出していた質問書の回答が1月28日に届きました。これをみても、制御棒1本が動かなくなった原因は全く明らかになっていません。他の制御棒にも影響するかもしれません。このトラブルの原因解明なしに再稼働は許されないことを改めて訴えます。
http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2026/01/kinkyu-260119-1.pdf
◇制御棒1本の駆動機構が壊れた原因は未解明なまま
8月25日に発生した制御棒1本が動かなくなったトラブルの原因について、東電10月9日付資料には、分解点検で見つかった「傷の原因を調べたところ、ラッチがボールナットにしっかり収まっていない状態で中空ピストンがガイドチューブ内を下降する際に、ローラーの動きが固く、ローラーがガイドチューブに引っかかったことによるものと判断」「制御棒が引抜けなくなった原因はその引っ掛かりによるものと推定」との記載があります。
2026年1月8日に参議院議員会館で開かれたヒアリングの場で東電は、ラッチが収まらなかった理由及びローラーの動きが固くなった理由を聞かれ、いずれも「スラッジ等によるもの」と回答しました。スラッジ等は分解点検の際にみつかったといいます。
しかしこの回答は、東電10月9日付資料にある「分解点検の際に、加工時のバリやビニール片等も発見したが、いずれも今回の不具合を引き起こす要因にはなりえないと評価」との記載と矛盾します。その点を質しましたが、回答はありませんでした。
スラッジ等は何のことか、量はどれほどか、それがどのように不具合をもたらしたのか、なぜ当該1本だけ不具合を起こしたのか、東電10月9日付資料に記載がないのはなぜか、と聞きましたが、どれも回答はありませんでした。
◇東電のスラッジ等原因説を知らなかった原子力規制庁
参議院議員会館で時間をずらして行われた原子力規制庁からのヒアリングの場で規制庁は、当該トラブルについて、日常検査において東電10月9日付資料に即した説明を受けたと述べました。東電が原因は「スラッジ等による」と東電10月9日付資料に矛盾するような説明を行っていることについて聞くと、「初めて聞いた」と驚きの回答がありました。柏崎刈羽規制事務所に聞くと、東電から説明は受けていたが、安全上問題はないと考え本庁には伝えなかったとのことでした。
この件につき、原子力規制庁に質問書を提出しました。その回答が1月28日に届きました。以下、その内容と問題点をあげました。
回答 ローラーの動きが固くなった原因についてスラッジの可能性は否定できないと報告があったとの連絡を受けております。いずれにせよ、原因はローラーの動きが固くなったことであり、当該不具合には対応済みであるとの認識です。
→東電はトラブルの発生メカニズムとして、①ラッチが収まらないうちにピストンが下降したこと、②ローラーの動きが固くなった、ことの2つをあげ、いずれの原因も「スラッジ等によるもの」と推定しています。構造的にみても、②のローラーの動きが固くなっただけでは、引っ掛かりは生じません。①がないと不具合は発生しようがないのです。規制庁はトラブルを把握することすらできていません。
→当該不具合には対応済みとありますが、当該の1本を交換しただけです。ラッチが収まらない、ローラーが動かない、この原因を解明し、他の制御棒や他の原子炉に影響を及ぼすかどうか明らかにしないと対応したことにはなりません。
回答 スラッジ等の量、不具合をもたらした経緯の詳細等については、当該機器の線量が高いことから更なる分解が困難であり、事業者からはこれ以上の調査が困難であるとの説明を現地検査官が受けております。
→原因究明が困難な言い訳を聞いて納得してしまっては規制の意味はありません。線量が下がるのを待ってでも原因を明らかにしなければ再稼働は認められないとすべきです。
◇引抜きができないトラブルを軽視・挿入さえできればいいのか?
東電と規制庁・規制委に共通するのは、このトラブルを非常に軽く見ているということです。トラブルはいずれも制御棒の引抜きに関わるものです。引抜きができないだけで挿入はできる。挿入ができればいいではないか。というのです。こうしたトラブルの放置、見逃しが大きな事故につながるのではないでしょうか。
◇再稼働時…トラブル発生でも原子炉止めず・24時間も低出力運転
1月22日の再稼働時のトラブルは、引抜きの際に警告ランプがついたというものでした。同様のトラブルが1月14日にも発生していたことをこの時初めて公表しました。1月14日はインバータ(変圧機器)の交換で警告が消えたが、1月22日は交換しても消えなかったとのことです。発生したのは1月22日午前0時28分です。
しかし、東電は引抜き操作を止めただけで、原子炉は止めませんでした。205本ある制御棒のうち52本はすでに引抜かれていました。原子炉は低出力で動いていました。炉内温度は115℃でした。定格運転時は280℃です。低出力の運転は核反応のコントロールが難しいと聞きます。
東電はなかなか原子炉停止の判断をしませんでした。22日の16時に、原子炉を直ちに止めるようとの緊急要請書をFAXで東電本社に提出しました。
https://kiseikanshi.main.jp/2026/01/23/12233445/
同じころ、原子炉停止するとの発表がありました。原子炉が止まったのは23日の午前0時すぎ、トラブルが生じて24時間近く経っていました。このような停止判断に問題はなかったのか、検証があってしかるべきだと思います。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
原子炉を動かすのも止めるのも制御装置です。最も重要な安全装置です。おざなりな点検での稼働は絶対認められない。出力調整、運転停止、緊急停止のすべてを制御棒が担っています。柏崎6号機の制御棒駆動機構は従来のBWRより高密度化複雑化している。従って点検整備稼働の難易度は高くなっている。簡単に点検終了宣言しての稼働には強く反対する。