福島原発事故直後の被ばく測定に着目した東京新聞の連載「背信の果て」は、国や国の意向を受けた医療関係者らが、被ばく被害を矮小化していった過程をリアルに描きだしています。最終回は、避難所等で行われた放射線検査(スクリーニング)の問題に触れています。
事故直後の3月13 日に、除染の基準が13,000cpm から10 万cpm に引き上げられ、多くの被ばくが消されてしまいましたが、そればかりでなく、元のマニュアルでは除染後に行うことになっていた内部被ばくの有無を判断するためのスクリーニングがなくなり、スクリーニングの性格が変えられていました。
本稿では、東京新聞の記事に触発されながら、内部被ばくのスクリーニングが消された問題について、当時の原子力安全委員会の資料に基づいて状況を明らかにするとともに、後を継いだ原子力規制委員会がこれをどのように扱ったかを明らかにし、現在の原子力災害対策指針や避難計画を検証したいと思います。
福島原発事故の反省に立ち、内部被ばくのスクリーニングレベルを改めて設定することを求めた安全委の提言を規制委は完全に無視しました。内部被ばくの有無を判断するためのスクリーニングは消え、乗っていた車やバスの測定により基準以下であれ
ば人の測定は行わないというものになっています。(続きは以下をクリックしてください)