むつ中間貯蔵施設(リサイクル燃料備蓄センター)は、原発の使用済み燃料を再処理工場で再処理するまでの間、一時的に備蓄する施設ということになっています。
しかし、搬出先の「第二再処理工場」は検討すらされておらず、50年経っても使用済み燃料の搬出先がなく、むつが半永久的な核のゴミ捨て場となるのは必至です。また、東電が柏崎刈羽原発を再稼働させ、運転を継続するためには、満杯のプールから使用済み燃料をむつの施設に移す必要があります。むつの施設は原発を再稼働させ、運転を継続させるためのものです。
原子力規制委員会はこの施設の審査ついて、操業を認める審査書案を提示し、10月2日を期限とした意見募集(パブリック・コメント)を実施しています。批判意見を集中しましょう。
パブコメ提出は10月2日(金)まで 意見提出フォームは以下にあります!
https://is.gd/2WvI27
問合せ:原子力規制庁 原子力規制部審査グループ 核燃料施設審査部門 電話03-5114-2117
むつ中間貯蔵・パブコメのタネ
◆搬出先が明記されず…金属キャスクの寿命60年を超えるおそれ
<審査書案より>金属キャスクについて…設計貯蔵期間(50 年間)に加えて事業所外運搬に係る期間等を考慮しても十分な余裕を有する60 年間における…必要な安全機能を失うことのない設計とするとしている
原発の使用済み燃料は金属キャスクという容器に入れて運搬し、むつの施設では金属キャスクごと貯蔵されます。むつの施設の設計貯蔵期間は50年間、金属キャスクの寿命は運搬に係る期間を入れて60年とされています。審査書案は、60年間の安全性を確認しただけです。
しかし、審査書案には、貯蔵を終えた後の搬出先が明記されていません。貯蔵期間が50年を超えても搬出先がなければ、使用済み燃料はむつの施設に留め置かれることになり、金属キャスクの寿命とされる60年を超過するおそれも十分にあります。その場合、安全性は保障されません。このような状況で許可をするべきではありません。
◆金属キャスクに異常が発生した場合の搬出先も明記されず
<審査書案より>金属キャスクについて、万一の蓋部の閉じ込め機能の異常に対して、一次蓋の閉じ込め機能に異常があると考えられる場合には、蓋を追加装着し、搬出のために必要な記録とともに、契約先である東京電力及び日本原電に引き渡すとしている。
事業者は、金属キャスクの一次蓋の閉じ込め機能に異常があった場合、施設内では修復できないので蓋を追加装着したうえで搬出するとしています。しかし、いったいどこに搬出するのでしょうか。審査書案のどこを見ても搬出先は明記されておらず、契約先である東電及び原電に引き渡すとあるだけです。
普通に考えれば搬出元の原発ということになります。しかし、50年近く経った状態で異常が見つかった場合、果たして搬出元の原発は存在するでしょうか。とうの昔に廃炉となっているかもしれません。原電など会社ごとなくなっているかもしれません。この場合、異常が発生しても修理することもできないことになります。このような状況で許可をすべきではありません。
◆津波をかぶってもよいのか?
<審査書案より>申請者は、…敷地への浸水も許容できるため、津波防護施設等を設置しないこととし、既往の知見を大きく上回る仮想的大規模津波が敷地に到達し、使用済燃料貯蔵建屋内に浸水したとしても使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能が維持されることを確認するという方針に基づき、設計を行っている。
原発の津波対策では、基準津波に対して、施設が浸水しないよう、防潮壁を建てるのが通常です。むつの施設についても当初はその方針でした。ところが事業者は途中で方針を変え、23メートルの仮想敵大規模津波に対して、施設が浸水しても安全上問題ないことを示すとし、規制庁はそれを認めました。
浸水により、金属キャスクが破損したり、泥をかぶって冷却機能を失ったりすれば、安全上大きな問題が生じます。安全確認すら困難な場合もあるでしょう。その場で修理ができない場合は搬出することになっていますが、ここでも搬出先は明記されていません。
審査書案では津波の最大を2011年東北地方太平洋沖地震津波としていますが、過去には東通村猿ヶ森地区で20m超の津波の痕跡があり、これが内閣府による想定から除外されていることが明らかになっています。これを考慮した場合、仮想的大規模津波の想定も現状では不十分になります。
◆施設は恐山からの火砕流の通り道に立地
<審査書案より>恐山については、正津川火砕流、二又沢火砕流及び関根第1火砕流が敷地及び敷地付近に到達している。…マグマ噴火が発生する可能性は十分小さく、火砕物密度流が敷地に影響を及ぼす可能性は十分小さいと評価した。
むつの施設の近くには恐山があります。過去わかっているだけでも3回、比較的小さい噴火で火砕流が届いています。火砕流の通り道にあるのです。噴火の頻度は規模が小さいほど大きくなります。事業者は噴火の兆候はないとしていますが、専門家は、観測経験のない噴火の予測は困難だとしています。むつの施設は立地にも問題があります。
パブコメ提出は10月2日(金)まで 意見提出フォームは以下にあります!
https://is.gd/2WvI27
問合せ:原子力規制庁 原子力規制部審査グループ 核燃料施設審査部門 電話03-5114-2117