敦賀・東通破砕帯評価についての傍聴報告/2015/3/25原子力規制委員会定例会合
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000010.html

敦賀と東通の破砕帯評価についてが議題にあったので、期待は全然できないとわかってはいたけれど傍聴しました。

小林管理官からの報告は、敦賀の直下の断層が活断層であるとの評価は、前回と変わらないということでした。

これに対し、田中委員長が委員の意見を聞く前に「委員の中で錯綜している面もあるので整理をしておく」と前置きして「前に評価を受けて委員会で活動性が否定できないとして、原電に使用済み燃料プールへの対処を求め…(原電が異議申し立てして)たが、現状は冷温化が進んでいるから特に何も指示はしない」「また適合性審査が始まり、破砕帯についての判断は審査ですると委員会で決めている。敦賀の重要施設下の問題については適合性審査で検討する」と述べました。

審査するまでもなく、基準では、重要施設下に活断層は立地できないはずです。自分たちの作った基準も守る気もない。タメ息しか出ません。

東通について、報告自体が、重要施設下の小断層の評価がまとまらないまま出されているから、更田委員から「適合性審査で検討するといっても断層の調査をするのか、どうやっていくのか」と質問が出る始末でした。

ほんとに何やってるのか訳がわかりません。一番真剣に論議されていた破砕帯有職者会合をただの茶番にしてしまった規制委員会という報告です。(O)

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毎日新聞 2015年03月25日 21時40分
http://mainichi.jp/select/news/20150326k0000m020123000c.html

原子力規制委員会の有識者調査団が、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井 県)と東北電力東通原発1号機(青森県)の敷地内の断層を「活断層」と認定し たことは、両社の経営に大きな打撃となりそうだ。日本原電は、残る東海第2原 発(茨城県)の再稼働時期も見通しが立っておらず、新たな収益源と位置付ける 他社の原発の廃炉支援事業を早期に軌道に乗せる必要に迫られる。東北電は東通 1号機で追加の耐震補強工事を迫られる可能性が高く、再稼働を収益計画に位置 付けるめどは立たない状況だ。

影響がより深刻なのは原発を専業にする日本原電だ。原子炉建屋直下の活断層が 認定され、運転開始28年と所有原発で最新だった敦賀2号機は廃炉となる公算 が大きくなった。再稼働に向けた安全審査でも、再度「活断層」と認定される可 能性が高い。同社は今月、敦賀原発1号機の廃炉を決定し、残る東海第2原発の 再稼働には地元の反発が強い。(後略)

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敦賀については、原電は諦める気はないし規制庁は適合性審査の申請がされれば受理する(福井新聞の報道)そうです。田中委員長曰く「重要施設下の活断層についての判断は適合性審査で」ということな訳だろうけど、活断層だと委員会も認めたら、基準から言って適合性審査を受理すること自体おかしいはずです。

東通は、長い2つの断層については、耐震性を高めないといけないとなるのでしょう。しかし重要施設下の小さい断層については、もし活断層であれば立地ができなくなります。これへの判断を有職者会合は両論併記にしているので、これを適合性審査でどう扱うのかと更田さんに問われている状況です。

専門家が石渡さんだけの適合性審査・地震津波チームで審査するなんて(東通は審査に入っているからね)ことになったのに、毎日の記事は甘いと思えます(朝日も似たような論調だそうです)(O)

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せっかく、安全側の判断として、破砕帯であることを否定できないとして結論を出し、しつこく原電が食い下がるのを、追加の会議を開いてまで、結論を変えなかったのに。何ヶ月か前の規制委員会の会議で、有識者会合の結論は「一つの知見として扱う」みたいな方向を決めていました。まるで、2年間の会議と有識者を馬鹿にしたような取り扱いで、本来だったら、前提が崩れたわけで、適合審査には入れない案件のはずです。(M)