みなさまへ

昨日の政府交渉に参加されたみなさんお疲れ様でした。火山と高経年化について、ざっと報告させていただきます。

市民側は70名が参加。鹿児島から杉原洋さん、松尾晴代さん、高木章次さん、佐賀から石丸初美さん、永野浩二さん、関西からアイリーンさん、小山英之さん、福島から人見やよいさん、森園かずえさん他、また井野博満さん、海渡弁護士にもご参加いただきました。福島みずほ議員にも同席いただきました。

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火山については、先月認可された保安規定のうち、火山モニタリング(監視)に係る内容が、規制委が並行して行っている火山活動のモニタリングに関する検討チームの検討内容に反していることについて、火山監視の方法、兆候の把握と対処の断基準、核燃料搬出の方針の三点について聞きました。対応したのは、規制庁の斎藤氏と中桐氏でした。

中桐氏は形式論に終始し、当面の破局的噴火の可能性が十分に小さいことを確認していると必ず前置きをつけて、九電の案が、火山ガイドや保安規定の作成手順にしたがって作成されているのを確認したので認可しただけだと繰り返し述べていました。

こちらは、当面の噴火の可能性についても疑義があるが、今回は、それが十分に小さい場合でも、火山ガイドで実施が義務付けられている火山モニタリングと対処方針について聞いている、とした上で、矛盾点を明らかにしながら中身について一つ一つ聞きました。

兆候の把握と対処の判断基準については、九電が保安規定とその下位にぶら下がっている社内規定で示した内容が、専らドルイット論文に依拠したものであり、これが火山モニタリング検討チームで噴火予知連会長の藤井敏嗣氏から徹底的に批判されたことについて聞くと、斎藤氏は、適合性審査の過程で当時の島崎委員の指摘で判断基準をより厳しくしたと回答、それは昨年5月の話で、その後、藤井氏により、ドルイット論文を一般化して九州に適応するやり方がダメだとの指摘されたのではないかと言うと、他にも根拠があると、それは別の話でこの件については九電は専らドルイット論文に依拠しているはずだと指摘すると、答えに窮して黙ってしまいました。

すると横にいた中桐氏がマイクをとり、判断基準が学術的に正しいかどうかを確認するのではなく、判断基準を示し対処する方針であることを確認していると回答。開き直り発言に会場全体は唖然として、出せば何でもいいのか、正しくなければ安全は守れないだろう、規制庁の仕事をしなさい、といった声があがりました。

やりとりの中で、今回問題にした内容が、保安規定案ではなく、その下位の社内規定文書に記載されていることについて、社内規定の中身は審査しない旨の回答もあり、この点についても問題が残りました。

核燃料搬出の方針については、具体的な計画は兆候が出てからでよいとしている点について、核燃料搬出の余裕をもって予測ができるとした根拠を何度も聞きましたが回答はなし。また、審査結果に「事前に燃料体の貯蔵方法、輸送方法及び体制について検討を行うことを定めている」とあることについて、どのような検討を行ったのかを聞くと、検討を行う方針であることを確認したとの回答。では事前とはいつなのか、噴火に備えてというのは今のことではと聞くと、何かしら兆候があるはずだと、それでは間に合わないのではないかと聞くと答えに窮するという状況でした。

海渡弁護士からは、技術者から情報が寄せられ、火山灰評価に問題があるとの指摘がなされました。川内原発の火山灰の想定は15センチでその想定そのものにも問題があるが、15センチでも非常用ディーゼル発電機のフィルターに問題が生じるとの内容です。九電はアイスランドの火山の観測値から火山灰の濃度を決めており、そこから、フィルターは26時間もち、交換に必要な2時間を上回るから問題はないとの結論を出しています。ところが、この評価に用いたアイスランドの火山の火山灰は、川内原発と同じ距離で0.5センチにすぎないのに、そこでの火山灰濃度をそのまま使っているのです。火山灰が30倍であり、そのまま濃度も30倍であるとすると、フィルターは0.9時間しかもたず、交換が間に合わないということになります。この問題については、規制庁内で再度検討するように要請しました。

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高経年化については中桐氏が一人で対応しました。法令は30年目までに高経年化対策(高経年化技術評価と長期保全計画の策定)を義務付けています。長期保全計画を含む保安規定変更申請に対して規制委の審査と認可が必要です。

しかし川内原発1号機は、高経年化対策に係る保安規定の審査が中途の状態で昨年7月に30年を超えてしまいました。工事計画が確定していないことが理由とされています。その上、今現在も終わっておらず、にもかかわらず、再稼働させようとしています。主にこの二点について聞きました。

30年目をまたいでしまったことについて、電気新聞では特例の猶予期間などと報道されていることから、その手続きや条件について聞こうと思っていましたが、中桐氏は、高経年化対策は30年目までに申請があれば問題なく、審査は30年またいでもいくらかかってもいいと回答しました。

井野博満さんからは、自分が保安院時代に高経年化意見聴取会の委員をしていた時に、とにかく30年前に認可しなければいけないとせかされたことを引き合いに出し、認識を質したのですが、それでも変わりませんでした。小山英之さんが指摘されていたように、他の法令規則にも反する可能性があり、改めて追及していきたいと思います。

また、今現在、高経年化に係る審査が終わっておらず、認可がない中で再稼働が問題になっていることについては、法的には再稼働するしないは関係ないと主張、昨年7月段階で、規制庁が30年を超えても審査は続けるとした根拠に、冷温停止状態が続くことを挙げている点を指摘すると、事業者が早めに補正申請をだせば審査はする…と、答えになりませんでした。これは九電ではなく規制委・規制庁側の問題です。

阪上 武