本日官邸前と規制庁前のアピール行動の際に配布したイラストチラシ(原子力規制を監視しようニュース)より

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PDF<原子力規制を監視しようニュース>0826岸田政権の原発推進許さない!
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岸田政権の原発推進許さない!再稼働反対!次世代炉開発反対!

◆岸田首相が新増設を含む原発推進策の検討を指示

8月24日に開かれたGX実行会議において政府は、原発の新増設を検討する方針を示しました。合わせて原発の運転期間の延長を検討し、来夏以降に新たに7基の再稼働を進める考えも表明しました。原発の新増設について、政府は「現時点で想定していない」とし、エネルギー基本計画に記載はありませんでした。出席した岸田首相は、「政治決断を必要とする項目が示された。年末に結論を出せるよう検討を加速して欲しい」と述べ、原発推進に舵を切る姿勢をみせています。

◆原発再稼働が電力逼迫を招く

政府は原発の再稼働が必要な理由に電力不足の懸念を挙げています。今年6月には東京電力管内で電力逼迫が生じ、節電が叫ばれました。しかしこれは、想定を超える高温により、予想需要を超える需要が生じ、供給とのバランスが一時的に崩れたことによるものです。電力不足が原因ではありません。仮に原発が再稼働したとしても、夏のピーク時に備えて定期点検を行う時期であり、解決にはならなかったでしょう。

逆に、再稼働による原発依存が電力逼迫を招くことも考えられます。地震など自然災害に弱く、大きな事故があれば同型の原子炉を一斉に止めなくてはなりません。また、原発ではトラブルが絶えません。関電の原発がその例です。最近の事故だけでも、8/1美浜3号機の一次冷却系で7トンもの水漏れ、7/8高浜4号機で蒸気発生器細管の減肉損傷事故、6/24大飯4号機の電動主給水ポンプ穴あき、7/21高浜3号機のタービン動補助給水ポンプ油漏れ…といった具合です。関電は運転を最優先にして事故があっても原因究明をせずにすぐに稼働させてきました。これがまた次の事故を呼ぶ悪循環に陥っています。

◆運転期間の延長でますます危険な老朽原発

政府の原発推進方針には、原発の運転期間の延長が含まれています。現状では原発の寿命は40年、特例として60年が認められていますが、実際には60年が普通に認められ、危険な老朽炉の運転が行われています。方針では、これをさらに伸ばすのではなく、規制委の審査にかかった時間を運転期間から除外して実質的に運転期間を延ばす方策を検討すると言われています。

しかし、原子炉は止まっていても老朽化は進みます。そのことを見越して、いまの法律がつくられたはずです。運転期間をさらに延ばすなどもってのほかです。危険な老朽炉の運転をやめ、40年を超える原子炉は直ちに廃炉にすべきです。

◆地元の意思決定プロセスを踏みにじるもの

政府は、原発の新規制基準に適合したものの、再稼働にこぎつけていない5原発7基(柏崎刈羽6・7号機、東海第二原発、女川原発3号機、島根原発2号機、高浜原発1・2号機)について、来年夏から冬以降に再稼働させる目標を設定しました。安全対策や地元の理解を得るための取り組みについて国が前面に立って対応するとしています。特に沸騰水型原発の再稼働を促進しようとしています。しかしそれは地元の意思決定プロセスを踏みにじるものですし、以下に例を示すように、現実にはとても再稼働が問題になる状況にはありません。

◆東海第二原発…94万人の避難計画に実効性はない

東海第二原発では、全国最多の94万人の避難計画が問題になっています。避難所のスペースの確保、第二の避難先の確保、避難用のバスや運転手の手配、要配慮者の避難のための福祉車両や救急車の手配、屋内退避の被ばくリスクの問題など課題山積です。水戸地裁は昨年3月に、避難計画の実効性に問題があるとの理由で、原発の運転差止めを命ずる判決を出しています。計画策定にあたる自治体職員も、とても再稼働が問題になる状況ではないと言います。

地元同意については、立地する東海村と茨城県だけではなく、水戸市やひたちなか市など周辺の5市も拒否権をもつ茨城方式が採用されており、同意に際しては避難計画を検証し、住民の意思を反映するとしています。県内各地の議会で再稼働反対の意見書が採択されています。

◆柏崎刈羽原発…東電に原発を運転する資格はない

柏崎刈羽原発は、テロ対策として設置していた侵入検知機の故障を放置し、規制当局に虚偽の報告していた問題で、規制委が事実上の運転禁止命令を出しています。また、新潟県は福島第一原発事故の検証、柏崎刈羽原発の安全性や避難計画の問題で独自の検証作業を行っており、これを再稼働に同意するかどうかの条件にしています。そもそも、あれだけの事故を起こした東電に原発を運転する資格があるのか、不信感が根強くあります。

◆次世代型革新炉のモデルは東芝を破綻させた原発

GX会議で示された原発の新増設は既存の炉ではなく、事故対策が改良された次世代炉ということになっています。次世代炉については経産省が設置した審議会(原子力小委員会)で検討されてきました。原子力政策を立て直しを図るために推進側も必死になっています。

次世代炉や次世代革新炉などと名前がついていて、ガス炉や世界で開発競争となっている小型モジュール炉などが含まれますが、審議会の資料で2030年代に運転開始する目標が示されているのは「革新軽水炉」というものです。革新とありますが、モデルとなっているのが米国でお金がかかりすぎて建設途中で頓挫し、東芝が破綻する原因となったAP1000という改良型加圧水型原発です。ダメとわかっているものに力を入れようというのでしょうか。

ただただ原子力産業を生き残らせるためだけに、危険な原発にこれ以上税金をつかうことは許されません。岸田政権の原発推進政策に反対して原発のない社会を実現しましょう。

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