みなさまへ(転載歓迎)
先ほどまで開かれていた原子力規制委員会会合において、柏崎刈羽原発の運転禁止措置の解除に際して、小早川社長からの聞き取りがありました。小早川社長は「しっかりやります」とか「しくみよりも魂」といった抽象的な表現で決意を述べていました。
具体的な改善策として、協力会社の現場作業員との距離を縮めて意見を出しやすくしたとか、監視役として核防護モニタリング室を設置したといった話もしたのですが、どうも歯切れが悪いのは、改善されたはずの状況で10月25日に福島第一原発の汚染水処理の現場で被ばく事故を起こしたからでしょう。
被ばく事故について社長は、原因と再発防止策は報告した、長年トラブルがなかったので問題に気付かなかった、などと述べました。
しかし元プラントエンジニアに聞くと、穴の開いた容器にクネクネと這わせた配管を突っ込むようなやり方を恒常的な作業として行っていたことが問題だといいます。しかもそこに流れる廃液には高濃度放射能と硝酸が含まれています。配管が抜けだして暴れて廃液が噴き出すことは容易に想像され、普通に安全管理ができていれば気付いて対処していたはずとのことです。
小早川社長の「しくみよりも魂」発言に対し、規制委側から「精神論もいいが規制委の場ではしくみが大事」という意見も出たのですが、「しくみ」を改めたはずなのに被ばく事故が発生したのです。改善などされておらず、トラブルが多発し、それに学ぶことができない体質がそのままであることをまざまざと示していると思います。
社長を退席させたあと、委員の討論があったのですが、山中委員長に感想を聞かれて、各委員からは、核物質防護については改善を認めるとの反応。東電の適格性について誰も触れないので改めて聞くと伴委員だけが反応して、適格性があるとは言えないが、「適格性がないとはいえない」との6年前の規制委の見解のままでよいのではと。最終判断は次回の会合でということですが、反対意見はなく、すんなりと決まりそうな状況です。
伴委員から、前回に続いて東電の弱点について話がありました。事故対応について計画を立てるのはうまいがそれを実行するのが苦手だと。であるならなおさら、改善策と決意や精神論ではなく、現実に発生したトラブルや事故に即して判断すべきでしょう。その場合には、東電に原発を運転する適格性はないとの結論しか出ないはずです。
傍聴には新潟から駆け付けた大賀さんを含めて10名ほど。抗議アピールには15名ほどが参加し、声をあげました。次回の会合でも呼びかけたいと思います。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)