kaijo

イラストチラシ裏面(原子力規制を監視しようニュース)の文面は以下です。

1227news

柏崎刈羽原発再稼働反対!
運転禁止措置の解除に反対!
東電に原発を運転する資格なし

原子力規制委員会は12月27日の会合の場で柏崎刈羽原発の運転禁止措置の解除を最終的に決めようとしています。

◆核物質防護の問題で運転禁止に◆

柏崎刈羽原発において2020年にIDカードを忘れた社員が他人のIDカードを使って中央操作室に入室した事件が発覚。翌年には核物質防護設備の機能が一部喪失していた問題が発覚しました。後者については、詳細は明らかにされていないが、大雪や強風などで監視装置が壊れたり、誤作動したりした場合に、人が警備にあたることになっていたのにそのようにせず、これが毎年のように繰り返されていたというもので、規制委はこれを4段階の違反のうちもっとも重大な「赤」とみなしました。二つの違反により核燃料の移動禁止措置がとられ、これが事実上の運転禁止措置となっていた。規制委は今回の解除の検討に際して、核物質防護上の問題で東電が行ってきた対策の評価に加えて、東電が原発を運転する適格性を改めて問題にしました。

◆大雪を模擬した訓練を今年の夏以降に実施◆

核物質防護の問題では、東電から、監視装置が壊れた場合の訓練を積んだ、核防護の監視役を担うモニタリング室を設けた、下請けなど協力会社から報告を受けるようにしたといった改善策が示され、それを規制委が検査で確認したといいます。しかし、大雪警報発令時を模擬した訓練が行われたのは今年の夏の時期で、実際の大雪での経験はありません。モニタリング室の件も、協力会社からの報告についても、今後も継続的に検査する必要があるといいます。解除の検討は少なくともそうした検査が終わってから行うべきです。

◆東電に原発を運転する適格性も問題に◆

東電が原発を運転する適格性については、6年前の設置許可の際に保安規定に書き込まれた7つの約束が問題になりました。約束には「廃炉を主体性に取り組み、やり切る覚悟とその実績を示す」というものもありますが、福島第一原発の廃炉作業は遅々として進んでおらず、目途が立たない状況が続いています。

◆汚染水処理施設での被ばく事故は検討の対象外に◆

約束には、「正確な情報発信を通じてご理解を得ながら取り組み、廃炉と復興を進める」というものもあります。理解が得られていないのは汚染水の海洋放出の問題からも明白です。驚いたことに規制委は、安全上の問題ではないとしてこの項目を検討から外しています。この間発生したトラブルについても検証したといいますが、10月25日に発生したALPS汚染水処理施設での被ばく事故については結果も待たずに軽微と決めつけ、やはり検討から外しています。

◆小早川社長の決意「仕組みよりも魂が大事」などと精神論に終始◆

12月20日の規制委会合において東電小早川社長からのヒアリングがあった。小早川社長は「しっかりやります」とか「仕組みよりも魂が大事」「仏像に魂を入れる作業」といった抽象的な表現で決意を述べた。規制委側から、「精神論もいいが規制委の場では仕組みが大事」という意見も出ました。しかし、ALPS汚染水処理被ばく事故は、「仕組み」を改めたはずの状況で発生したのです。

◆トラブルに学ばずトラブルを繰返す体質は変わらず◆

被ばく事故について社長は、原因と再発防止策は報告した、長年トラブルがなかったので問題に気付かなかった、などと述べました。しかし元プラントエンジニアの方に聞くと、穴の開いた容器にクネクネと這わせた配管を突っ込むようなやり方を恒常的な作業として行っていたことが問題だといいます。しかもそこに流れる廃液には高濃度放射能と硝酸が含まれていました。配管が抜けて暴れて廃液が噴き出すことは容易に想像され、普通に安全管理ができていれば最初に気付いて対処していたはずだといいます。被ばく事故は、改善などされておらず、東電がトラブルに学ぶことができず、さらにトラブルを繰返す体質が何も変わっていないことをまざまざと見せつけたのです。

この事故について、東電は当初、現場にいた作業員を5人と発表していました。その後、記者の追及により実は10人であり、元請けの東芝システムの社員で施設の設計者もいたことが明らかになりました。東電はその情報を隠していたのです。なぜ設計者が呼ばれたのか、それでも事故が防げなかったのは何か、肝心なことは不明のままです。12月14日には福島第一原発2号機において別の被ばく事故が発生しています。

◆現実のトラブルや事故から判断すべき◆

伴委員から前回に続いて東電の弱点について話がありました。事故対策について、計画を立てるのは得意だがそれを実行するのは苦手だといいます…であるならなおさら、改善策と決意や精神論ではなく、現実に発生したトラブルや事故に即して、実際の行動によって判断すべきです。その場合には、東電に原発を運転する適格性はないとの結論しか出ないはずです。

核物質防護についての検討も不十分であり、適格性については「適格性がない」との結論しかありません。核燃料の移動禁止の解除は、柏崎刈羽原発の再稼働のみならず、むつ市の使用済核燃料の中間貯蔵施設への搬出を許すことにも繋がります。運転禁止措置を解除すべきではありません。

カンパ募集中!郵便振替00140-5-44967原子力規制を監視する市民の会