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みなさまへ

長文ご容赦ください。昨日行われた むつ核燃料貯蔵施設・柏崎刈羽原発の稼働中止を求める院内集会&政府交渉 について報告させていただきます。(誤認があればお知らせください)

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むつ核燃料貯蔵施設・柏崎刈羽原発の稼働中止を求める院内集会&政府交渉報告
5月1日(水)13:30~15:30 参議院議員会館B105にて

ゴールデンウィーク中でしたが、会場に30名ほど、Zoomで80名ほどの方にご参加いただきました(不手際によりZoomからの発言ができない状況でした申し訳ありませんでした)。設定をお願いした福島みずほ議員にもご参加いただきました。交渉は原子力規制庁の地震津波の審査担当者が3名出席しました。

署名「青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の操業反対を求めます」
https://chng.it/N9KCzq8Y4n

◆むつ中間貯蔵施設の操業を止めるために(核の中間貯蔵をとめよう!下北の会 栗橋伸夫さん)

青森県むつ市在住で、むつ中間貯蔵施設の反対運動に長年取り組まれた栗橋伸夫さんにお話しいただきました。

使用済み燃料は全国で2万トン。全国の原発の核燃料プールの80%を占めており、全国的な問題になっている。むつ中間貯蔵施設は、今年3月末に事業者(リサイクル燃料貯蔵)が向こう3年間に、柏崎刈羽原発から8基の使用済み燃料輸送容器(キャスク)を受け入れる計画を発表。最初は今年7月~9月に1基が搬入される予定になっている。安全協定締結と住民説明会が焦点となっている。

一番の問題は搬出先がないこと。50年以内に再処理工場に搬出することになっているが、むつからの搬出先として説明されてきた「第二再処理工場」については公文書から消え、存在しなくなった。六ヶ所再処理工場についても、稼働延期を繰返しており、再処理事業そのものが続くのかどうか不透明な状況。青森県宮下知事は「50年の間になんとかなるだろう」、3月県議会では「海外再処理もありうる」といった発言も。50年後の搬出先がなく、むつが核のゴミ捨て場となることが懸念される。安全協定について、搬出先を具体的に明記することが必要だと要請した。

能登半島地震を受けて、海底活断層の問題に加えて避難の問題がある。能登半島と同様に避難が困難とされた全国109市町村の中に下北の6市町村が含まれていた。重要な避難道路となる国道279号線は、降雪によりできないことがある。大間~むつ間では水害で一時通行できなくなった。

むつ中間貯蔵施設の周辺には六ヶ所再処理工場や東通原発、大間原発など原子力施設が林立するだけでなく、軍事施設もある。釜伏山レーダー基地、自衛隊大湊基地には大型弾薬庫がつくられようとしている。米軍三沢基地もある。原子力と軍事の両方のリスクを抱えている。

ネット署名について協力のお願いがありました。
署名「青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の操業反対を求めます」
https://chng.it/N9KCzq8Y4n

◆柏崎刈羽原発をめぐる3つの問題(規制庁・規制委員会を監視する新潟の会 桑原三恵さん)

新潟市(旧巻町)にお住まいで、巻原発の建設阻止そして柏崎刈羽原発の再稼働阻止の運動に取り組まれてきた桑原三恵さんにお話しいただきました。再稼働にむけての動きが進む中で、何が問題なのか、再稼働を止めるために何に注目すべきなのか具体的に指摘されました。

〇7号機は再稼働にまっしぐら
〇究極の問題は使用済み燃料
〇複合災害では避難も屋内退避もできない
〇地元同意の問題
〇基準地震動の過小評価

東電は地元同意なしに燃料装荷を強行。2度のトラブルが発生したが、2度目の制御棒駆動(7号機は電動)用のブレーカーが落ちたトラブルは、原因不明なままブレーカーを交換しただけで作業を再開した。再稼働にまっしぐらだ。

使用済み燃料プールは貯蔵率(7号機は97%でほぼ満杯状態)。3号機の燃料プールには28体のMOXがある。むつ中間貯蔵施設に搬入する計画。説明会で東電に「使用済み燃料の処分方法も決っていないのに再稼働するのか?」と質すと、高レベル放射性廃棄物の処分に話をすり替えてまともに回答しない。東電が国民に約束した基本姿勢7項目にも反する。「再稼働の究極の問題は使用済み燃料」であると強調されました。

能登半島地震は、複合災害では避難も屋内退避もできないことが明らかになった。雪深い新潟ではさらに大きな問題となる。

「地元同意」については、県議会が複合災害についての意見書を採択、知事は災害対応の在り方を検討する有識者検討会を5月に設置するとした。知事は「県民の信を問う」としているが、その方法を示していない。自治体議員有志がUPZ圏内自治体にも地元同意を求めるよう運動を展開している。

基準地震動の過小評価について、能登半島地震で「連動」が問題になっている、柏崎刈羽原発の審査においても連動の想定がなされているが、もっとも影響が大きいF-B断層についてはどことも連動しないことになっている。また、渡辺満久さんら地形学者が指摘する佐渡海盆東縁断層については、新潟県の技術委員会で存在するか否かが論争になり、報告書では両論併記となったが、国の審査では「存在しない」とされた。能登半島地震を受けて再検討が必要。

◆原子力規制庁との交渉

1.能登半島地震の教訓について

〇必要なのは新知見を待つことではなく、各原発の審査を、知見と審査ガイドに照らして再検証すること

能登半島地震の教訓について規制庁側は「新知見が出るのを待つ」姿勢でした。活断層学会会長は、能登半島地震を受けて、音波探査を過度に重視するやり方が過小評価につながると指摘しましたが、これは従来から指摘されていたことで、音波探査だけで活断層ではないと安易に否定するなと審査ガイドにもわかりやすく書かれています。必要なのは、各原発の審査を、知見と審査ガイドに照らして再検証すること、それは再稼働を止めて今すぐ実施すべきものです。

2.下北半島北部の海底活断層

〇むつ中間貯蔵の審査で、隆起を説明する海底活断層を想定しないのは審査ガイドに反する
〇大間原発の審査では想定を要求し、むつ中間貯蔵では何も言わないのはダブルスタンダード
〇大間原発で電源開発が想定した「隆起再現断層」による地震がむつ中間貯蔵における地震動評価に影響する可能性については「わからない」(規制庁)
→ 基準地震動が変更される可能性がある以上、操業を止めて再審査を実施すべき

<質問の意図>

・渡辺満久さんらは論文で、下北半島北方に海底活断層を想定すれば、下北半島の隆起が説明でき、海底の急崖地形の連続性から長さは40キロ以上に達すると指摘。その断層の北西部近くに大間原発の敷地、南東部近くにむつ中間貯蔵施設の敷地がある。
・大間原発は現在審査中。事業者の電源開発は、音波探査記録をもとに活断層の存在を否定するが、規制委側は、審査ガイドにある「顕著な海岸隆起によって累積的な変位が認められる地域では、弾性波探査(引用者注:音波探査のこと)によって断層が確認されない場合でも、これをもって直ちに活断層の存在を比定せず、累積的な変位を説明する適切な地殻変動を検討する必要がある」との記載に従い、活断層を想定するようコメントした。
・事業者は規制庁に従い、渡辺さんらが指摘する40キロのうち、北西側20キロだけを「隆起再現断層」と認定。不確かさの考慮で最大28キロとなっている。
・むつ中間貯蔵施設については審査が終わり許可がでているが、渡辺さんらが指摘する海底活断層については、検討のはじめから除外されている。
・否定する事業者に対し、大間では規制委側から断層を想定するよう迫った。しかし同じ時期に審査があったむつ中間貯蔵では何も言わず、活断層による基準地震動は陸域の横浜断層によるものとされた。
・むつ中間貯蔵においても隆起を説明する断層を想定すれば、横浜断層よりも揺れが大きくなり、基準地震動を変更しなければならない恐れがある。操業を止めて再審査すべきである。

<回答>

・むつ中間貯蔵の審査では、本審査の前ののヒアリング(議事概要のみ公開)の場で確認した。音波探査記録により海底活断層であることを否定した。
・大間原発で電源開発が想定している「隆起再現断層」について、これによる地震が横浜断層による地震を超え、むつ中間貯蔵の地震動評価に影響する可能性については「わからない」と回答
→ 「隆起再現断層」を検討しない根拠は失われた。操業を止めて再審査すべき!

3.柏崎刈羽原発周辺の海底活断層(佐渡海盆東縁断層)の評価について

〇連続した急崖地形…明確な理由なしに活断層を否定するのはガイド違反
〇「総合的判断」(規制庁)→ 活断層を否定する明確な理由が示されていない
〇能登半島地震でも音波探査による過小評価が問題に 再稼働止めて再審査を!

<質問の意図>

・渡辺満久氏らは音波探査と海底地形から中越沖地震の震源断層を特定し、佐渡海盆東縁断層とした。崖の連続性から長さ50キロ以上
・東電と国は、音波探査の記録により、佐渡海盆東縁断層を否定した。しかし、音波探査で活断層がないといってそこに活断層がないことにはならない、このことは、音波探査によっては中越沖地震の震源断層を見出すことはできなかった事実からも明らか
・東電と国は、北側の崖については音波探査から堆積構造であり断層の地震活動によるものではないとするが、それでは崖の連続性について説明できない。断層を否定する明確な理由はない
・能登半島地震を受けて、活断層学会会長の鈴木康弘氏は、音波探査を過度に重視するやり方では割断層を短く評価するおそれがあること、海底についても地形から活断層を認定する技術はあると問題提起をしている。これに照らしても、佐渡海盆東縁断層について、再稼働を止めて再審査すべき。
・審査ガイドの「地層が局所的に急傾斜している場所については、その地下の比較的浅いところに活断層が存在する可能性を検討する必要がある。また、広域的な隆起等の変動についての要因を活断層によらないものと判断する際にはその理由を明確にする必要がある」との記載に従っても、再審査すべき

<回答>

・佐渡海盆東縁断層については「総合的な判断」で否定したと回答。活断層によらない理由については、音波探査でみつからない、北側も活断層はみつからず、堆積構造にみえるというだけ
→ 活断層によらない明確な理由がない以上は、活断層とすべき。再稼働を止めて再審査すべき