イラストチラシ20210326
監視ニュース20210327
東電に原発運転の資格なし設置許可取消し!柏崎刈羽原発を廃炉に!
柏崎刈羽原発においてIDカード不正使用事件が発覚、続けてさらに深刻な核防護事案が発覚し、再稼働に向けた動きは止まりました。東電に原発を動かす適格性・資格はありません。原子力規制委員会は3月24日、東電に是正措置命令を出して事実上運転禁止状態にする方針を決めました。しかし東電に資格がないのだから規制委は設置許可の取消しを行うべきです。
◆IDカード不正使用事件…認証情報を書き換えて入室させていた
東電は今年1月23日、柏崎刈羽原発で社員が他人のIDカードで中央制御室に入室した事件が昨年9月20日に発生していたことを公表しました。他人のIDカードで入室したことも問題ですが、社員警備員が本人認証不一致のエラーが出たにもかかわらず名前も知らない者を入室させ、わざわざ認証情報を書き換えていたことも問題です。
◆規制庁も知っていたが隠蔽に加担し最終審査を合格させていた
事件発生の翌日9月21日には東電の知る所となり、すぐに規制庁の本庁核セキュリティ部門に報告します。しかし東電は周辺自治体には報告せず、公表もしませんでした。規制庁も公表せず、規制委にも報告せずに隠蔽に加担していました。それだけでなく、直後の23日に適合性審査では最後となる保安規定について認可の判断を行い、10月に正式に合格させていました。その保安規定には設置許可で問題となった「福島第一原発事故を起こした東電が原発を設置・運転する適格性」に関する項目が入っていました。隠蔽に加担し、知りながら審査を通した規制庁の責任も重大です。
◆安全活動に軽微な劣化を認めるが保安規定違反ではないとの見解
発覚後、規制委は非公開会合において、IDカード不正使用事件について報告を受けた上で、原子力規制検査の指摘事項について暫定的な重要度評価について検討し、「防護措置等について事業者が行う安全活動に劣化が認められた」とし、重要度を「白」と判定し2月8日に公表しました。更田委員長は、特に本人認証によりエラーが出たときの対応について、核防護規定により義務付けられているルールが定められていなかったことを問題視し、核防護規定に違反するとしています。しかしこのときは、事件を起こした社員が制御室に入る資格を持った者であることを理由に、安全上の問題はなく、保安規定違反ではないとしていました。
◆核防護上の新たな問題が発覚…深層は闇の中
そんな中で「柏崎刈羽原発の侵入探知に関わる核物質防護設備を1カ所誤って損傷させた」というあらたな核防護上の事案が発覚しました。規制委と東電は、同原発において2020年3月から21年2月にかけて、テロ対策用の侵入検知装置の故障が計16か所であったと発表しました。そのうち10か所では東電が代わりに講じた措置も不十分だったため、侵入を検知できない状態が30日を超えていた、さらに以前の2018年1月以降、侵入検知装置の故障が複数見つかっていたが、すぐに復旧もしなかったということです。
しかし、いったいどんな装置がどのように壊れたのか、代替装置がどんなものでなぜこれでは実効性がないと判断したのか、具体的なことは核防護上の秘密とされ、明かされていません。不正ID事件のときもそうでしたが、今回はそれ以上に真相が隠されています。規制委も東電もすべてを明らかにすべきです。
◆東電は故障した装置の代替装置に実効性がないことを承知していた
規制委によると、故障した装置を補う代替装置に実効性がないことはすぐにわかるようなもので、東電の警備担当社員もそのことを知りながら改善しなかったといいます。不十分な代替措置を東電が「慣例」として続けていたことも明らかになっています。更田委員長は、能力・知識がなかったのか、知っていて欺いたのか、いずれにしろ問題だとしています。
代替措置に実効性がないことが明らかになったのは、規制庁が更田委員長の指示で2月21日に抜き打ちで行った原子力規制検査によるものとされています。しかし東電によると、東電は昨年10月の原子力規制検査において、2019 年度の核物質防護事案の不適合の発生状況について規制庁に説明したとしています。なぜこの時に対応しなかったのでしょうか。
◆更田委員長…再検査に1年以上かかる・再稼働は事実上できないと
新たな事態に対し規制委は暫定的な重要度評価について検討し、重要度を最悪の「赤」と判定しました。対応区分は悪い方から2番目の区分4になりました。これにより、今後1年以上かけて再検査を行うことになり、その間は、事実上再稼働はできないとしています。また、核防護規定の違反による再審査についても言及しています。さらに、セキュリティ(核防護)文化に著しい劣化がある状況でセーフティ(安全)文化が健全だということがありうるのか?とし、安全上の問題でもあると認識を変え、保安規定認可違反についても言及しています。
◆東電に原発を設置・運転する適格性なし・設置許可を取消し柏崎刈羽原発は廃炉に
東電は「適格性」の審査に際して、「廃炉賠償をやりきる覚悟」を示し「法令遵守と安全性の向上」をトップダウンで行うことを約束しました。しかしそのいずれもができていないことが明確になりました。東電はこれまで、2002年に発覚したひび割れ隠し事件、同じく2002年に発覚した原子炉格納容器漏洩率試験でのデータ偽装事件など数々の不正隠ぺい事件を起こしていました。そして、311福島第一原発事故に際しては、国の研究機関により15mの津波が予見され、現場では対策が検討されていたにもかかわらず、トップが経営を優先し、握りつぶしていたことが東電刑事告訴による裁判で明らかになっています。こうした不正隠ぺい・安全軽視の体質が重大事故を引き起こしたといってもよいでしょう。今回の核防護事案は、そうした体質が事故後も一向に変わっていないことを示しています。
東電に原発を動かす適格性などありません。そのことが明確になりました。規制委・規制庁の適格性も問題です。再検査や再審査は、不合格を合格にさせるための手続きにすぎません。運転禁止の是正措置でも不十分です。規制委は再検査や再審査を口にする前に、運転の資格をはく奪すべきです。すなわち、柏崎刈羽原発の設置許可を取消し、廃炉にすべきです。