20240605_核

みなさまへ(拡散希望)

むつ中間貯蔵への搬入の中止を求める院内集会&政府交渉にご参加いただきありがとうございました。オンラインでちょうど100名の方にご参加いただきました。直前になって参議院議員会館の部屋がとれたので、議員とメディアのみなさんに声をかけたところ、共産の高橋千鶴子、立憲の逢坂誠二議員に駆けつけていただきました。また、青森県議の鹿内博さんに同行する形で、地元2紙の記者さんと長年核燃サイクル問題に取り組まれている澤井正子さんにもご参加いただきました。ありがとうございました。設定は福島みずほ議員にお願いしました。当日は参議院の経済産業委員会と重なり出席はかないませんでしたが、いろいろとご尽力いただきました。ありがとうございました。主催(核の中間貯蔵はいらない!下北の会/国際環境NGO FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会)

<院内集会>***********

◆青森県議 鹿内博さん

昨日のむつ市議会の質疑の場において事業者側は、搬出先として「六ヶ所再処理工場の可能性がある」と言い出した件に触れ、六ヶ所再処理工場は着工してから既に26年経っており、むつから搬出される50年後には80才近くなる、そのような工場が動いているとはとても考えられない、青森県は高レベルガラス固化体の搬出についても約束が反故にされようとしている、むつの搬出についても同様だとし、青森県に核のゴミが押し付けられようとしている状況を鋭く批判されました。

◆むつから 栗橋伸夫さん

むつ市議会で説明と質疑が行われた、青森県、むつ市、事業者の3者が結ぶ安全協定案について、搬出先が明記されていない、事実上破綻している全量再処理政策が明確に中断した場合でもむつの中間貯蔵を中止する規定がない、キャスクのトラブルに対する対応が決まっていない、使用済み燃料の搬入・搬出の責任を負う親会社である東電と原電が安全協定の当事者になっていないといった問題があると指摘されました。

◆主催者から 質問のポイント

政府交渉の質問のポイントについて解説がありました。50年後の搬出先がないこと、事故時のキャスクの安全性の問題などが主要なテーマであること。また今日の課題ではないが、現在地元で検討中の安全協定案について、搬出先が明記されていないこと、自治体が要求できる「措置」は、これ以上の搬入の中止がせいぜいで、事故や政策変更により、既に搬入した使用済み燃料の搬出や施設の閉鎖を要求することができないこと、事故時には知らせととあるだけで対処について記載がないことといった問題があり、今日の交渉を地元で安全協定問題の議論に活かせればといった指摘がありました。

◆中間貯蔵・乾式貯蔵の問題に取り組む各地から

今回問題となっているむつ中間貯蔵への搬入は新潟県柏崎刈羽原発からのものですが、搬出元となる新潟から桑原三恵さんから…全国の原発の燃料プールで貯蔵率81%と使用済み燃料が溢れているが、再稼働が目論まれている柏崎刈羽原発7号機の燃料プールは97%とひっ迫している、むつ中間貯蔵への搬出は再稼働のためのものであり絶対に反対である。

山口の三浦翠さんから…山口県の中国電力上関原発の建設予定地近くで浮上した関電の中間貯蔵について、26万筆集めた署名提出の取組みや周辺自治体で首長が反対の姿勢を示す動きなど。

和歌山の松浦雅代さんから…関電が原発の予定地だった場所に中間貯蔵施設を建てようとしたが、合併して白浜町となり、温泉とパンダの町に原子力施設はいらないとのキャンペーンで阻止したなど。

関西の島田清子さん…関電の敷地内乾式貯蔵の問題点、自治体への申入れなどの取組み、滋賀県が関電に対して乾式貯蔵に対して懸念を表明したことなど。

福井県若狭市在住の石地優さん…老朽炉の稼働につながる乾式貯蔵に反対、これ以上核のゴミを増やさないためにも原発を止めるしかない

<政府交渉>***********

〇「搬出先は搬出時に稼働している再処理工場」…稼働している再処理工場がないときは?回答なし
〇「第二再処理工場」は「定まった方針はない」…検討すらしていない
〇「六ヶ所再処理工場に搬出する可能性はある」…操業すらできない。むつを急ぐ理由はない
〇事実上破綻している全量再処理政策…明確に政策変更してもむつは閉鎖しない?
〇高レベルガラス固化体に使用済み燃料…青森県に核のゴミを押し付ける現実があらわに

政府交渉でも50年後の搬出先が焦点となりました。搬出先はどこか?という質問について、資源エネルギー庁は、「搬出時に稼働している再処理施設において再処理が行われるものと想定している」との回答。「第二再処理工場」については「現状では定まった方針はない」とし、検討すら行われていないことを認めました。

ではどの再処理施設なのかと問うと、昨日のむつ市議会での答弁と同様「六ヶ所再処理工場の可能性がある」と述べました。しかし、六ヶ所再処理工場は稼働しても運転期間は40年であり、50年後には操業を終えていることになります。このことを指摘すると、むつ中間貯蔵の貯蔵期間は「50年以内」であり50年を待たずに搬出する可能性がある、また、六ヶ所再処理工場の運転期間について40年は十分な安全裕度を持った「設計上の目安」であり、法令で定められたものではない、40年を超えて稼働することはありうると回答しました。

むつ中間貯蔵は、もともと六ヶ所再処理工場では処理しきれない分の使用済み燃料を貯蔵することが目的でした。六ヶ所再処理工場が稼働したらそこにむつ中間貯蔵から運ぶというのであれば、原発から直接運べばよい話であって、わざわざ中間貯蔵を経由する意味はありません。

また再処理工場という危険極まりない施設で運転期間が法的に定められていないというのも問題です。鹿内さんの指摘にもあるように、着工から数えると既に老朽した施設ともいえます。2006年には実際に再処理を行うアクティブ試験も実施しており、放射能で汚染された機器を交換することもできません。

プルサーマルが進まない状況ではプルトニウムが増えるだけであり、削減するとの国際公約に照らしても再処理は実施できないのではないかとの問いに関しては、MOX燃料の加工工場も竣工の予定だし欧州での燃料製造も進む、プルサーマルも予定通り進めば、プルトニウムの所有量が一時的に増加しても将来的には減少するといった回答でした。

プルトニウム削減の国際公約には「将来的に」などというものはなかったはずです。それにしても、六ヶ所再処理工場が24年度上期に操業し、困難な状況にあるMOX燃料の製造が順調に行われ、プルサーマルが進むという、現実にはどれも進んでいないことを前提としている。むつ中間貯蔵を急ぐ理由はありません。破綻した核燃料サイクル政策にしがみつく姿勢に批判の声があがりました。

むつ中間貯蔵施設を東電・原電以外の電力会社が使う共同利用構想が、県民市民の信頼を大きく損ねた問題についても聞きました。エネ庁は、検討に着手する前の段階の話だとしましたが、共同利用はもうやらないというでよいのかとの問いには明言を避けました。

また、事実上破綻している全量再処理政策について、エネルギー基本計画には「直接処分」の検討についての記載もあるが、明確に全量再処理政策を転換することになった場合に、役割を失ったむつ中間貯蔵施設は閉鎖するのかとの質問が出ましたが、これにも回答はありませんでした。

「搬出時に稼働している再処理施設において再処理が行われるものと想定している」との最初の回答については、搬出時に再処理が行われている再処理施設がどこにもない場合はどうするのかという質問が何回もでましたが、「搬出時に稼働している再処理施設において再処理が行われるものと想定している」と繰り返すばかりでした。

規制庁に対しては、キャスクの設計寿命である60年を超えて貯蔵される場合に、健全性はどうやって確認するのかを聞きました。保安活動や検査によって健全性を確認することになるだろうということでしたが、結局はその時に考えるということでした。無責任な話だと思います。

また、事故時の取り扱いですが、放射能が漏れるような事故が発生した場合、むつ中間貯蔵施設では、燃料プールがないので蓋を開けての検査や修理ができません。どうするのか。規制庁は、二重蓋になっていることを確認した。両方とも破損した場合はさらに大きい容器に入れることになっていて、事業者はその状態で搬出するとしているとの回答でした。規制側から搬出を要求することはないとも。現場で蓋を開けて対応が必要となるような深刻な事故は想定していないようでした。

★交渉の最後に、青森県出身の若い方から、原子力施設と核のゴミを青森県に押し付けてどういうつもりかと怒りに満ちた発言がありました。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武