8月26日(木)午後に、参議院議員会館にて、復水器の配管で海水漏れが見つかった川内原発の即時停止を求めて、緊急の署名提出と原子力規制庁との交渉が行われました。
規制庁側は、原子力規制部安全統括管理官(PWR担当)付総括係長の片野孝幸氏、同管理官補佐の高須洋司氏、同原子力保安検査官の菊川明広氏が対応しました。議員は、菅直人議員、福島みずほ議員が参加されました。
署名は、22日(土)から4日間に3,818筆が寄せられ、一次集約分とした原子力規制委員会宛てとして提出しました。賛同されたみなさんありがとうございました。署名は引き続き31日まで行う予定です。
◆復水器配管んからの海水漏れ
復水器の配管から海水が漏れた件で、規制庁から説明があった事項は以下です。
・復水器はA~Fの6つの水室がある。各室には約13,000本の配管があり、全部で8万本余り
・今回海水が混入したと九電が特定した5本はいずれもA水室
・九電は問題の配管がA水室の給水加熱器非常用ドレンの入口近傍であることから、これが影響したと考えている。すなわち、配管内の海水側ではなく、配管の外側から損傷して穴が開いたということ
・5本のうち4本は最外周にあった。九電は、起動前の検査で、A水室の最外周について、渦電流探傷試験を実施していたが、見つけていなかった。この時の検査は直管部分だけを実施していた
・起動後、伝導率や塩分濃度の変化から漏えいが疑われ、A水室にて、フィルムを用いた検査(フィルムを張る気圧の違いから漏えいのある配管が特定される)を行い、漏えいがあることを確認し、改めて、1,353本について渦電流探傷試験を行い、5本を特定した
・長期の停止時は、復水器はドライ(乾いた状態)であったので、腐食などの劣化は進んでいないと考えている
・復水器は、発電上重要な施設だが、安全上重要な施設ではない。今回の事象も法令上の報告事象ではなく、規制委として停止指示を出すようなことは考えていない
やりとりでは、原因が特定されているのかが問題になりました。九電が原因と考えている給水加熱器はA水室だけでなく、B~Fにもあります。規制庁は、A水室だけ位置が違うようにも述べていましたが、いずれにしろ九電の推測にしかすぎません。
九電は、次回定検時に、配管を切り出すことも含めて、詳細な原因調査を行う予定でいるということです。市民側は、今定検中であることから、直ちに止めて、調査を行うよう要求しました。また、美浜3号機の二次系配管破断事故で多くの作業員の命が失われたことから、二次系でも安全確保は重要であり、その意味でも直ちにとめるべきだと訴えました。
◆1次系冷却ポンプの軸振動計の異常について
起動前の8月7日に、1次系冷却ポンプの軸振動計が正常な値を示さなくなり、交換した問題について、市民側は、同じ振動系が3台あり、残り2台についても交換などの対応を行うよう求めました。
規制庁は、このポンプの異常が検知できない場合、冷却水喪失による重大事故に至る可能性が否定できないことを認めましたが、残り2台の交換の必要性については否定しました。市民側は、振動計は運転開始いらい30年以上使われており、耐用年数を超えている可能性もあり、引き続き問題にしていくと訴えました。
◆高経年化対策実施ガイドについて
前回8月4日の交渉時に、市民側が、高経年化の認可を受けずに30年を超過したことが、高経年化対策実施ガイド違反ではないかと指摘すると、規制庁の担当者が、必ずしも守らなくてもよいと述べた件について、改めて聞きました。
規制庁は、実施ガイドは遵守すべきだとし、長期保守管理方針の「始期」が規定されている実施ガイドの記述自体も、それは書かれている通りだと認めました。その上で、その「始期」は「長期保守管理方針」の始期であって、それは保安規定とは別であり、昨年の7月3日に九電が既にに実施していると述べました。
九電が勝手に決めて勝手にやれというのでは、保安規定の認可制度に組み込んだ意味がありません。市民側は、従来の規制庁の説明や保安規定に組み込んだ趣旨に反すると指摘しました。それに対して明確な反論はありませんでした。
川内原発については出力の再上昇に取り掛かったと報道されていますが、次回定検で調査するつもりならば、いまやらせるべきです。引き続き即時停止を訴えていきましょう。