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みなさまへ

9月9日に行われた政府交渉のうち、地震動評価・耐震評価に係る部分について報告します。

市民側は、鹿児島、熊本、佐賀、大阪、京都、福井県おおい町、首都圏から参加され、多彩な顔触れとなりました。福島から兵庫に避難された菅野みずえさんも参加されました。事前集会のあと、地震動・耐震評価にかかわる政府交渉が90分、避難問題にかかわる交渉が110分と続きました。

地震動評価・耐震評価に係る政府交渉の相手方は、原子力規制庁PWR担当の片野氏(統括係長)、地震担当の岩田氏(管理官補佐)と鈴木氏(係長)の3名でした。

◆原発の地震動の過小評価問題

まず、島崎邦彦さんによる、原発の地震動評価に用いられている入倉・三宅式は過小評価をもたらすので用いるべきではないとの提言に関して、規制庁の7月27日文書に即していくつかやりとりをしました。

○「科学的・技術的な熟度には至っていない」武村式を適用すると矛盾が起こる問題は未解決

規制庁は、大飯原発の基準地震動について、入倉・三宅式に替えて武村式を用いた試算を行い、短周期レベル(加速度)で1.52倍、基準地震動(加速度)で1.81倍となるとの結果を導きだしました。しかし、試算にはさまざまな矛盾があるとして、7月27日文書で、試算そのものに意味がないとし、政府交渉でもそのような説明がありました。
7月27日文書には、「科学的・技術的な熟度には至っていない」との文言が結論部分にあるのですが、これの意味を問い質すと、レシピにおいて武村式を適用するとさまざまな矛盾が起こるという問題は未解決であることを認めました。

○入倉・三宅式の過小評価は既にカバーしていた!??

また、同じ文書に「入倉・三宅式が他の関係式に比べて、同じ断層長さに対する地震モーメントを小さく算出する可能性を有していることにも留意して、断層の長さや幅等に係る保守性の考慮が適切になされているかという観点で確認してきている」と、まるで島崎さんの提言よりも前に過小評価を認識しており、それを断層の長さや保守性の考慮でカバーしてきたように書いてある部分がありますが、そんなはずはありません。「小さく算出する可能性」をいつ「留意」したのか、保守性を考慮と過小評価との関係についていつ、どのような検討を行ったのかについて質しましたが、「式をみれば誰でもわかる」などと言うだけで、何も答えられませんでした。

○自ら「ブラックボックス」と認める

規制庁が試算において、関電の計算結果を再現できなかった(入倉・三宅式を用いた基本ケースで、関電:596ガルに対し、規制庁:346ガル)点について、その原因は、要素地震波の生成と合成のやり方が違うとの説明でしたが、具体的に何が違っているのか、関電から計算方法を聞いて、規制庁側で再現する作業をやっておらず、やるつもりもないと。「ブラックボックス」だと、規制庁の側から言ったのです。それでも大局を見ているのでよいと。これについては会場から、それにしては値が違いすぎる。試算の結果にもかかわるし、通常の審査においても、電力会社側が過小評価となっても気づかない可能性があることから、審査をまともに行うためにも、関電の計算結果を再現する作業を行うべきだとの意見が出され、再度検討するよう要求しました。

○武村式で不確かさを考慮しないのも根拠なし

また、規制庁が試算において、入倉・三宅式では基本ケースに加えて不確かさを考慮したのに対し、武村式では基本ケースしか計算しなかった件については、「武村式で計算すると地震モーメントが大きくなるので、そこで不確かさは既に考慮されている」との無茶苦茶な回答でした。

○原発の地震動評価について熊本地震の検証を

熊本地震の検証については、一般的に学術分野での知見を待つというだけでした。島崎さんの提言は、熊本地震のデータに照らして、原発の地震動評価で用いられているやり方では過小評価となるとの指摘でしたから、これを否定するのであれば、熊本地震のデータに即して、地震前の情報から、いまの原発の地震動評価のやり方で、熊本地震の揺れが再現できることを示さなければならないはずです。

○「長大な断層」の条件について資料請求

関電が大飯原発の基準地震動の算出の際に、レシピの規定に反して「長大な断層」の条件を用いている件については、レシピの規定に反することを認めた上で、「長大な断層」の条件を用いた場合のほうが基準地震動が大きくなるのでそちらを採用したとの回答がありました。これについては、審査でどのような検討を行ったのか、資料の提出を求めました。

◆くり返しの揺れは考慮せず

耐震評価において熊本地震であったようなくり返しの地震を考慮していない件について、設備や機器の金属疲労の影響については、通常運転時の熱影響や地震による応力による影響を足し合わせる形で疲労累積係数というものを計算し、これが1を超えたら不合格という評価を行っていることを確認した上で、地震の影響については、基準地震動1回分しか入っておらず、余震の影響は考慮されていないことを認めました。規制庁は、大きな地震が来れば、止めて安全確認を行うと述べましたが、まだ冷却が必要な段階で余震が来れば間に合いません。また、規制庁は、基準地震動に保守性が見込まれているとも言いますが、それは電力会社が言うことです。規制の立場で、余震による影響も考慮させなければなりません。

◆九電、老朽化対策で約束守らず

川内原発1号機の高経年化技術評価で、九電が、今年7月までにやると長期保守管理方針で約束した評価につき未だに報告がない件については、次の保安検査で確認するとの回答でした。市民側は、約束が守られていない状況を放置すべきではないし、保安規定違反の疑いもあると指摘しました。

阪上 武