anadarake

みなさまへ

中央制御室の空調配管が腐食で穴だらけの実態が明らかになっています。

事の発端は、島根2号機で、中国電力が、新規制基準の審査に備えて、運転開始以来一度も点検していなかった中央制御室の空調配管の保温材をはがしてみたところ、腐食により穴だらけだったことにあります。昨年12月のことです。穴は年末までに19箇所見つかっており、大きいものは30センチ×1メートルのものまでありました。

写真などは以下に(30センチ×1メートルの腐食は最後のページ)
https://www.nsr.go.jp/data/000174616.pdf

中央制御室の空調は普段は外気につながっていますが、事故時は外気を遮断しフィルターを使って放射能を除去します。中央制御室が放射能で汚染することがないように、気密性を保つ機能が要求されます。空調配管は安全上重要な機器に分類されますが、多重性はありません。その空調配管が穴だらけというのはどういうことでしょうか。運転中ならば非常に危険な状況でした。

報道されているように、規制委・規制庁は、再稼働前の検査などで、保温材を外した上での目視確認を実施していませんでした。保温材を付けたままの外観検査でよく、それでは腐食穴は見つかりません。使用前検査では、中央制御室にガスを流して濃度に大きな変化がないかどうかの確認が行われていましたが、これも保温材があるためにパスしてしました。保温材をつけたままでは意味がなかったのです。

原発40基、詳細点検せず=配管腐食、再稼働の川内・伊方も―電力各社
時事通信 1/15(日) 8:32配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170115-00000014-jij-soci

今直ちに必要なことは、稼働中の原発は止めて、全ての原発の保温材をはがして、ボロボロの実態を明らかにすることです。ところが、規制委・規制庁は、未だに点検指示を出していません。規制庁に問い合わせると、13日の金曜日付で田中委員長名で調査指示が出ているとのことですが、よくよく聞くと、今後の点検指示の前段階として、点検の実状を調査するだけで、具体的な点検指示は原因が究明できてからだと。そんな悠長なことをしている場合ではありません。

今回の問題は、安全上重要な機器であるのに多重性がない設計であること、点検はすべて保温材を付けて実施することになっており、審査で要求される点検をきちんと行っていても見つからなかったこと、問題の配管は審査の対象外であったことからしても、審査のあり方そのものの見直しが迫られる問題です。更田規制委員も12月の会合で、「規制が要求すべきものに対して根源的な問いを投げかけたもの」と述べています。

12月14日原子力規制委員会定例会合議事録
https://www.nsr.go.jp/data/000172909.pdf

規制委・規制庁は、稼働中の川内原発・伊方原発について、直ちに稼働を止めて保温材えおはがして点検するよう要求すべきです。また、審査のあり方、検査のあり方について、根本的な見直しを行い、少なくともその作業が終わるまでは、設置許可が間もなく、18日の水曜日にも出るとされる玄海原発を含めて、許可を出すべきではありません。

老朽原発も実態不明=運転延長の高浜、美浜-配管厚さ1ミリ未満も
時事通信(2017/01/14-14:38)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011400164&g=eqa
1月11日原子力規制委員会定例会合資料
https://www.nsr.go.jp/data/000174616.pdf
12月14日原子力規制委員会定例会合資料
https://www.nsr.go.jp/data/000172591.pdf
中国電力プレスリリース
http://www.energia.co.jp/atom/press16/p161216-1.html

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)