原子力規制委員会は、10月16日の定例会合で、火山ガイドの改定について議論し、改定案を承認しました。1か月間のパブリック・コメント期間にはいります。
今回の改定は、巨大噴火以上の噴火リスクを無視してもよいとする考え方を取り入れるもので、原発の火山に対する安全性を大幅に切り下げる改悪です。パブリック・コメントで批判意見を集中し、改悪させないようにしましょう。
火山ガイド改定案へのパブリック・コメントはここから
http://pr7.work/0/kazan
◆批判の核心部分はここ!
改定案の中で、特に問題となるのは、追加された以下の文言です。
「巨大噴火については、発生すれば広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こす火山活動であるが低頻度な事象であること、有史において観測されたことがなく噴火に至る過程が十分に解明されていないこと等を踏まえて評価を行うことが適切である。したがって、当該火山の現在の活動状況は巨大噴火が差し迫った状態ではないと評価でき、運用期間中における巨大噴火の可能性を示す科学的に合理性のある具体的な根拠が得られていない場合は、運用期間中における巨大噴火の可能性は十分に小さいと判断できる」
電力会社は、①運用期間中に原発に対応不可能な影響を及ぼす噴火の可能性が十分に小さいことを示さなければなりません。しかし、巨大噴火については、②巨大噴火が差し迫った状態ではなく、③巨大噴火の可能性を示す根拠がない場合には①とみなすというのです。
まず、②差し迫った状態ではない、ですが、巨大噴火については「噴火に至る過程が十分に解明されていない」のであり、差し迫った状況についても判断できない状況にあります。
それから、③噴火の可能性を示す根拠がない場合には、①噴火の可能性が十分に小さいとみなすといいいますが、③と①では大違いです。①では、電力会社は、可能性が十分に小さい根拠を示す必要がありますが、③では「一生懸命探したけどありませんでした」と言うだけで、何もしなくてもよいのです。規制の放棄にあたります。
火山ガイドは、巨大噴火について、④広域的な地域に重大かつ深刻な災害を引き起こす火山活動であるが⑤低頻度な事象であること、⑥有史において観測されたことがなく噴火に至る過程が十分に解明されていない、と特徴づけていますが、規制を放棄する理由となりうるのは、⑤の低頻度しかありません。他はむしろ規制を強化すべき特徴です。
そして頻度についても、日本では、巨大噴火は数千年に1度の割合で発生しており、原発の運用期間が長期に及ぶことを考慮すると、低頻度といえるものではありません。活断層の場合は、過去12.5万年間に一度でも動いた形跡があれば、活断層と認定され、原発の直下に活断層があれば、原発は立地不適となります。それと比べてもあまりに危険です。
◆火山ガイド改悪の意図は原発の立地不適を避けること
今回の火山ガイド改悪の意図は明確です。もとのままでは、カルデラ火山が5つもある九州周辺の川内原発、玄海原発、伊方原発、そして、八甲田と十和田の二つの巨大噴火を引き起こすカルデラ火山をかかえる六ヶ所再処理施設などが立地不適になってしまうからです。
裁判で立地不適との判決が出ないように、「絶対的安全性」までは要求しないという、東電刑事裁判の判決と同じ考え方で、原子力の安全レベルを切り下げ、みずから、規制を放棄しようというのです。火山ガイドの改悪を許さないよう、意見を集中しましょう。