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美浜原発3号機審査
関電:新手法でも耐震性示せず

◆関電美浜原発3号機は来年11月30日に40年が経過する老朽炉です。この日までに寿命延長を前提とした審査を終えなければ廃炉となります。
◆今年8月20日に基準地震動がようやくきまりましたが、耐震評価の書類が滞っています。関電は新しい評価手法を使いたいと説明していますが、規制委はそれでは時間がかかると難色を示しました。
◆10月15日の審査会合で関電は、従来の手法では耐震安全性は示せないと白状しました。同日関電は、新しい手法を用いる評価対象が6つあると説明。うち5つについては10月中に、使用済燃料ラックについては11月中旬に評価結果を示すとした。実際には、11月19日の審査会合で、格納容器座屈と蒸気発生器伝熱管の2つについて評価結果が提出されただけです。
◆蒸気発生器伝熱管評価結果について(11月19日審査会合)、関電は、従来のスペクトルモーダル解析に代わり、時刻歴応答解析を用いたとし、その差分を説明するとして、説明をはじめました。しかしその説明内容は、時刻歴応答解析の採用に伴い、地盤特性等の不確かさの影響(拡幅10%)が直接考慮できないとし、これを外した評価の結果、許容値を下回ったというものでした。
◆地盤特性等の不確かさの影響については、これを外す直接の根拠を説明できません。そこで関電は、従来の手法が有する保守性のうち、設計者の配慮によるものは、本来不要なものであり、この部分が、地盤特性等の不確かさの影響よりも量的に大きいから問題はないと説明しました。
◆関電資料をよくみると、時刻歴応答解析とスペクトルモーダル解析の両者については、ほとんど同じ値になっています。新手法を用いても従来手法と評価値はかわらないことから、関電は、従来手法の中に、本来考慮しなくてもよい保守性があると主張しはじめたのです。
◆規制委側は、関電の説明は、新手法か従来手法に関係のないものであり話が違う、余裕・保守性は、評価の不確かさや材料のばらつきなど、トータルで確保する必要がある、これまで、設計者の配慮による保守性も含めて、評価をしたうえで認可を下してきた、簡単には切れない、と指摘しました。
◆関電は、すでに高浜で議論して承認されたはずだとも述べました。しかし、高浜原発の資料をみると、評価は時刻歴応答解析で行っていますが、地盤特性等の不確かさについては、10%拡幅に代わる10%ゆらぎを考慮した保守性について評価しています。時刻歴応答解析にこだわるのであれば、美浜3号機についてこれをやればよいはずです。
◆関電は、従来の手法では耐震安全性を示せないと白状しましたが、11月19日の審査会合の説明は、新しい手法でも耐震安全性が示せないことを明らかにしたものです。廃炉にするしかありません。

美浜3号炉審査状況
美浜3号機原子炉設置許可変更申請書
美浜発電所敷地ごとに震源を特定して策定する地震動について(2015/8/21審査会合資料2-1)
美浜発電所 耐震性に関する説明資料(2015/10/15審査会合資料1-1)
美浜発電所3号機 耐震評価手法に関する説明(2015/11/19審査会合資料4-3)
美浜発電所3号機 耐震性に関する説明書に係る補足説明説明(2015/11/19審査会合資料4-4)
耐震性に関する説明書に係る補足説明資料 高浜3・4号機蒸気発生器伝熱管の評価について P37~