みなさまへ(拡散希望)
福島第一原発の廃炉作業の実情です。
10月30日に規制庁で特定原子力施設監視・評価検討会が開催されました。特定原子力施設というのは福島第一原発のことです。
映像
https://youtu.be/lwexYx7Dvc4
会議資料
https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/00000050.html
以下が内容ですが、どの項目をみても、柏崎刈羽原発で審査対象となった「廃炉を主体的にやりきる覚悟と実績」について、東電の資格、適格性について疑問をいだかずにはいられません。東電は、最初の説明では、高濃度汚染水対策もデブリ取出しもさもうまくいっているように話すのですが、規制庁や福島県にちょっと指摘をされただけでしどろもどろになってしまっています。そのことをもってしても、東電には原発運転の資格はないと思います。
11月14日の院内集会・交渉では、こうした実情を踏まえて、東電の資格、適格性について問いたいと思います。ぜひご参集ください。
http://kiseikanshi.main.jp/2017/10/26/171114/
<建屋内の貯留水で放射能濃度上昇>
建屋内に貯留する高濃度汚染水について、東電はくみ上げて移送することにより、水位を下げて放射能レベルも下げる作業を行っています。来年4月までに放射能レベルで10分の1にする計画でしたが、最近になって逆に10倍に上昇しています。
東電は、復水タンクへの移送が原因で、放射能上昇は一時的なものであると説明、ただその一方で、それだけが原因ではないとも。規制庁幹部の山形氏が、原因について定量的な説明を要求すると、東電は急にしどろもどろに。復水タンクへの移送が原因なら、すぐに戻るはずのところ戻っていないと。他の原因が考えられると言いますが、それもきちんと説明できずじまいでした。
<遮水壁閉合したのに地下水位さがらず>
建屋内への地下水の流入を減らすため、東電はくみ上げ井戸(サブドレン)を稼働させています。さらに問題解決のために、つくられたのが遮水壁で、ゼネコンの技術で氷の柱を立てるものでした。これが完成し、完全に閉合できるようになったと報道もされています。しかし現実には地下水の流入は続いています。
東電は、陸側遮水壁については、まだ閉合過程にあり、効果を確認するのに時間がかかると説明しました。規制庁の山形氏は、すでに閉合が確認されているはずの海側について、雨水でしみこむ以上に地下水位が上昇しているが、これはなぜかと聞きました。するとまたしどろもどろになり、何らかの原因で地下水が流入しているようだ、と首をかしげるだけでした。
<地下水位の設定ミスはなぜ見逃されたのかも不明>
地下水位の管理は非常にデリケートで、単純に下げればよいというものではありません。地下水位が、建屋内の高濃度汚染水の水位よりも下回ってしまうと、こんどは中の高濃度汚染水が建屋の外に出てしまいます。これは絶対に避けなければなりません。サブドレンも遮水壁も実は完全に地下水を止めるわけにはいかないのです。
サブドレンを用いた地下水位の管理について、地下水位の設定にミスがあり、この半年間で何度か、地下水位が建屋内の水位を下まわり、高濃度汚染水が外部に漏れた可能性がある状態だったことが明らかになりました。
この件で東電は、震災により地盤の海抜が70センチ下がったことから、海抜の基準が震災前と後で混乱しないようOP(小名浜基準)からTP(東京基準)に変更したがそれが徹底していなかったことが原因だとし、マニュアルを変えからもう大丈夫だと説明しました。
これに対し、規制庁山形氏は、設計段階で行われた検討会議で誰もチェックできなかったことを問題視。なぜ誰も指摘できなかったのか?形だけの会議ではなかったのか?これに対して東電は言葉を失っていました。
<デブリ取出し計画…それは取出しとは言わない!>
廃炉事業のメインとなるデブリ(溶融燃料)の取出しについて、東電は、調査を継続しながら、まずは安全性を考えて小規模の取出し、その後、大規模な取出しと、段階的に取り出す計画だとした上で、小規模の取出しについて説明しました。その内容は、既存の貫通孔を使って小さなロボットでデブリを吸引しかき出すのだと。
その説明を聞いた規制庁櫻田氏は、落ちている溶融物の破片をかき集めるだけ、これはデブリ取出しではないと指摘。今行っている調査のためのサンプル取出しと何が違うのか、わざわざ別にやる意味はあるのかと質問。するとこれまで意気揚々と説明していた東電は急に、具体的な作業内容は何もきまっていない、ロボットもこれから設計するとトーンダウン。エネ庁も、何も決まっていないことを強調していました。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)